ストレスによる月経不順には漢方薬も
ストレスを感じることで起こるカラダの不調──
特に、女性の中では「生理(月経)」に関する悩みが多いのではないでしょうか。
一般的に正常な生理(月経)周期は25〜38日とされていますが、その間に強いストレスを受けたり、生活リズムが崩れたりすると、周期の乱れを生じることがあります。
とはいえ、生理(月経)周期の乱れはデリケートな悩みですので、早期に解決する必要があります。
今回は薬剤師である筆者が、ストレスと生理の関係について解説します。
ホルモンの分泌バランスが重要
人はストレスを受けると、カラダの働きを調整する「自律神経」、ホルモン分泌をつかさどる「内分泌」、外部から侵入する異物から守る「免疫」のバランスが乱れやすくなります。
中でも注目すべきは、「内分泌」です。
ストレス状態が続くと、そのストレスに対抗するためのホルモン「コルチゾール」が副腎皮質から分泌されます。
俗に“ストレスホルモン”として知られているコルチゾールですが、じつは、長期にわたり過剰に分泌されていると、副腎皮質がオーバーワークとなりコルチゾールが分泌されにくくなってしまいます。すると、カラダが疲れやすくなったり、憂うつ感、吐き気、頭痛などを始めとする“ストレス症状”が出てくるとされています。
また、ストレスは精神的要因以外に、気温や痛みなどのさまざまな外的要因からも受けます。
それらの外的要因は、生命に関わるケースもあるため、コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンの中でも最優先で作られるとされています。
そのため、強いストレスを感じるとコルチゾールの分泌が増え、代わりに同じ物質から作られている“性ホルモン”の分泌量を乱されてしまうことがあります。
すると、生理が来なくなったり、周期が短くなるなど、生理周期に乱れを生じることがあります。他にも、生理痛が重くなったりすることもあるようです。
ストレス対策には漢方も
前述したように、強いストレスを受け続けると、ホルモン分泌のバランスが乱れ、結果的に生理周期に影響を及ぼす恐れがあります。
また、生理周期の乱れが続くと、それもストレスとなり、悪循環のサイクルに陥ってしまいます。
このようなストレスによる生理周期の乱れには、「漢方薬」が有効な場合があります。
なぜなら、漢方薬は精神的な問題へのアプローチを得意としており、また生理周期を調整するのに期待ができるものもあるからです。
さらに、女性特有の冷え、便秘、むくみ、頭痛、イライラするなどの不定愁訴にも細やかに対応することができます。
現在は、漢方専門でない病医院でも、漢方薬を取り扱っているところは多くあります。
生理不順や、原因のはっきりしない不調を感じた時には、「漢方薬」という選択肢も頭に入れて、かかりつけの医師や薬剤師、登録販売者に相談してみてはいかがでしょうか。
生理周期の乱れの原因には、ストレスだけではなく子宮内膜症や子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、甲状腺の異常などさまざまな病気が隠れていることもあります。
放置せずに、気がついた時にすぐに対策をとるようにしましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛