お腹の不調は、大腸ではなく「小腸」が原因かも!?
軽めの食事なのに膨満感…そして食事のたびに、下痢や便秘に襲われる…
このように、お腹の不調を訴える人は多く、もはや国民病のひとつと言えるのではないでしょうか。
近年、その原因の中に「小腸」も関係している可能性があることが分かってきました。
今回は薬剤師である筆者が、お腹の不快症状と小腸の関係について解説します。
大腸にあるはずの菌が小腸内で増加中!?
小腸の病気で、「小腸内細菌増殖症(SIBO)」をご存知でしょうか?
耳にしたことのない人がほとんどだと思いますが、じつは、密かに増加中の病気といわれています。
小腸内細菌増殖症(SIBO)とは、その名の通り、小腸内で細菌が過剰に増殖することです。
本来、大腸に存在する細菌が、小腸内で繁殖してしまった状態になります。そうすると、小腸内でガスが発生し、下痢をはじめとした消化器系の不調を感じるようになるのです。
例えば、腸内細菌のエサとなる甘いものや小麦製品などの炭水化物を食べるたびに小腸内でガスを発生させてしまうので、その都度、膨満感や下痢、便秘などのお腹にまつわる不調を起こしてしまいます。
また、これらの不調が原因で、炎症を起こした小腸から未消化物や有害物質などを体内に吸収することがあり、さらなる害を引き起こしてしまうケースもあるようです。
補足ですが、過敏性腸症候群を患う人のほとんどは、この小腸内細菌増殖症(SIBO)であるとも言われています。
小腸内細菌増殖症(SIBO)の可能性をチェック
それでは、具体的に小腸内細菌増殖症(SIBO)の可能性をチェックしてみましょう。
- 食後にお腹が張りやすい
- 軽食でもお腹が張る
- ピロリ菌に感染している
- 胃薬(制酸剤)を常用している
- 過敏性腸症候群の治療が長引いている
- 下痢や便秘を頻繁に起こしている
- 空腹時にお腹がグーっとならない
- おならをよくする
- 頻繁に腹痛を感じることがある
- 整腸剤やヨーグルトがカラダに合わない
気になるものが1つでも当てはまれば、その可能性があります。
胃腸の不快には、適した薬の服用を
お腹の調子が悪い時、多くの人は手軽に手に入る胃薬などを頼ると思います。
ですが、その中に含まれている成分を気にしている人はどれだけいるでしょうか。
胃薬の成分の中には、胃酸の分泌を抑えることを目的としたものが多く販売されています。
しかし、胃酸の分泌を抑え過ぎると、胃酸によって排除されるべきだった菌がそのまま腸内に入り込み、小腸内細菌増殖症(SIBO)を加速させてしまうことがあります。
そこで、選択肢のひとつに考えられるのが、「漢方薬」です。
漢方薬の中には、お腹の張り、下痢、便秘、胃痛などさまざまな不調にピンポイントで改善を促してくれるものがあります。
時と場合によっては、漢方薬が有用なケースがありますが、まずは、自分のカラダに起きている症状をしっかりと把握することが大事です。
漢方薬の服用に際して気をつけなければならないのは、その時の体調や症状に合わせて、処方される漢方薬が異なるということ。
漢方薬の種類は数多くありますので、最適な服用を心がけるためにも、自分のカラダの状態を把握しながら、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することをオススメします。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛