漢方ビュー通信

生理前の便秘…まずは、体質の見直しから!

生理前の便秘…まずは、体質の見直しから!

生理前の悩みのタネ──「便秘
お腹が張って苦しい、お腹がスッキリしない、イライラすることが多くなり、不快な症状で悩む女性も多いのではないでしょうか。

さて、慢性的な便秘もふくめ、改善するには一時的に便秘薬などに頼るのではなく、体質を見直すことが本来の改善に繋がるとされています。

今回は薬剤師である筆者が、生理前の便秘のナゾ、そして便秘の改善について解説します。

生理前に便秘になりやすいのはナゼ?

生理には、2種類の女性ホルモンが関係しています。
それぞれ、「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」と呼ばれるもので、これらのホルモンの分泌バランスが乱れると、便秘をはじめPMS(月経前症候群)生理痛などを感じることがあります。

それらの中で、便秘は生理が始まって約2週間後の“排卵期”から分泌される黄体ホルモンが、大いに関係しています。
排卵後、女性のカラダは妊娠に備えて、体内に水分や栄養分などさまざまなものを溜め込もうとします。これに伴って、腸のぜん動運動が抑制されてしまうため、便秘になりやすいとされているのです。

そして、生理が始まると排泄の働きが活発になるため、腸の働きも徐々に改善されていくのです。

生理前に便秘になりやすいのはナゼ?

漢方医学で考える便秘とは

漢方の考え方において、便秘はカラダにとって必要な「気・血・水(き・けつ・すい)」の中の「水(すい)」の不足によるものと、ストレスや緊張による「気」の異常「血」の異常である「お血」などによって起こると考えられています。
特に生理前は、便秘の原因とされるこれらの条件が揃いやすく、便秘を感じる機会が多くなります。

一般的に、便秘には「下剤」のような西洋薬を用いることが多いのですが、漢方薬は、一人ひとりの体質に合わせて体質改善を行いながら胃腸の調子を整えるという使い方をしていきます。
つまり、「気・血・水(き・けつ・すい)」を補いながら、巡りをスムーズにすることで、便秘だけではなく生理前の不調症状や生理痛の緩和につながっていくのです。

便秘に有効な漢方薬は?

自律神経の乱れには漢方薬が効果的な場合も

便秘でよく用いられる漢方薬は、「大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)」ですが、体力があまりない人には「桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)」を用いることもあります。
また、その時の“便”の特徴から「麻子仁丸(ましにんがん)」や「潤腸湯(じゅんちょうとう)」などが処方される場合もあるので、漢方薬に興味や関心がある方も必ず事前に医師や薬剤師に相談したほうがよいでしょう。

漢方ビューの「悩み別漢方/便秘」ページでは、便秘の治療で用いられる漢方薬について、さらに詳しく解説しています。

漢方薬は、ひとつの不調を改善するのではなく、カラダ全体の不調を改善して、症状を緩和していくことを得意としています。
ですから、便秘とともにお腹や胸が張って苦しくなったり、イライラや不眠を感じる場合には、同時にそれらの不調も改善することを目指します。

毎月、生理前に何かしらの不調で辛い思いをしている人は、「漢方薬」もひとつの選択肢としてみてはいかがでしょうか。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic

Nov 19 2019

薬剤師・大久保 愛

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