漢方でいう「瘀血(おけつ)」とは?
血液は、心臓から全身の血管をめぐり、再び心臓まで戻りますが、その間のどこかに滞りが起きていることを“血流が悪くなっている”状態といいます。
漢方医学では、この状態を「瘀血(おけつ)」と表現し、さまざまな不調の原因といわれています。
できるだけ起こしたくない瘀血ですが、そのタイプかどうかを自分で判断するいくつかのポイントがあります。
今回は薬剤師である筆者が、瘀血の判断基準と対策について解説します。
不調のものさし「気・血・水」という考え方
漢方では、不調の原因を探るためのものさしとして、「気・血・水(き・けつ・すい)」という考え方があります。そして、それぞれ気・血・水のバランスが取れている状態を心身共に健康であるとしています。
さて、その中でも「血(けつ)」は、主に血液のことを指しており、血液や血液循環の異常がある場合などに用いられます。また、この血の異常には、血行が滞って血行不良になる「瘀血(おけつ)」と、血液不足の「血虚(けっきょ)」があります。
今回のテーマである「瘀血」ですが、代表的な症状として、月経異常や便秘、肩こりなどが挙げられます。
瘀血かなと思ったら、専門医へ
血液は全身を巡ることで、カラダの老廃物を取り除きながら、体中に酸素や栄養素を送り届けて人間の生命維持に役立っています。
血管の長さは、極小の毛細血管まで含めると約10万キロメートルもあるといわれており、仮にこのどこかで血で滞っている状態、つまり瘀血の状態になると、冷えやのぼせ、頭痛、肩こり、高血圧、低血圧、脳血管障害、虚血性心疾患、痔、生理不順、手足のしびれ、生理痛など、これらのどれかの症状につながってしまうとされています。
それでは、自身のカラダに瘀血の可能性があるかを判断するための、簡単なセルフチェックを紹介します。
<外見からチェックする>
- 顔色が黒ずんでいてシミが多い
- 舌の裏側の2本の静脈が太くくっきり見える
- 舌の色が紫色に近い
- 歯茎が黒い
- 唇が黒ずんでいる
- 足の静脈が浮き出ている
- 生理の際、経血に血の塊があったり、色が黒っぽい
<痛みの感じ方からチェックする>
- 痛みが移動せず、一定の場所が痛む
- チクチク刺すような痛みがある
- 手足がしびれる
- 夜になると痛む
- 圧迫するとさらに痛む
いくつか思い当たる節がある場合は、一度お近くの医療機関で相談することをオススメします。
漢方医学では、上記のチェック項目に加え、ライフスタイルや食習慣など、病歴や症状と関係ないと思うことまでを、診断の材料とします。さらに、話し方や体臭、脈など医師の五感を使ってより細かく診断の材料を集めて診断を行い、適切な処方を導いていきます。
※すべての医師がこの診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。
瘀血の症状を改善するために
瘀血を改善する方法として、一番は“カラダを温めること”です。
そのため日頃からあまり運動をせず、冷たいものをよく飲み、お風呂はシャワーだけで済ますといった生活習慣の人は注意が必要です。
できるだけ歩くようにしたり、階段を使ったり、同じ姿勢を続けないように意識すること。そして、温かい飲み物を飲んだり、お風呂に浸かったりといった小さな努力の積み重ねが瘀血の予防となります。
それでも改善が見られない、生活習慣の見直しが難しい場合などには前述の「漢方薬」が助っ人となる場合があります。
瘀血の症状を改善へと助けてくれる漢方薬は多数存在します。
瘀血かな、と感じた人は、慢性化する前に一度漢方薬も試してみてはいかがでしょうか。
現代人の生活習慣は、基本的に瘀血になりやすい状態といえます。
すなわち、日頃から意識して歩く、動く、温める、リラックスする、飲食物に気をつけたりしなければ、瘀血から生活習慣病に派生してしまうこともありますので、まずはできることからはじめてみましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic
薬剤師・大久保 愛