漢方ビュー通信

花粉の時期は、“目のアレルギー”にも注意!

約2000万人がアレルギー性の目の病気

暖冬といわれる今シーズン。
花粉が飛び始めるのがいつもより早いという予測もあり、油断できません。

花粉症というと、鼻水や鼻づまりといった症状を思い浮かべる人が多いでしょうが、意外と目の症状に悩んでいる人も少なくないようです。

目における花粉症のことを「季節性アレルギー性結膜炎」といいます。
結膜とは瞳の表面を覆っている粘膜のことで、異物や病原体から瞳を守ってくれています。
日本眼科学会によると、アレルギー性結膜炎はさまざまなアレルギーで起こる目の病気ですが、その約85%は花粉によるものだと推定されています。
ちなみに、我が国には約2000万人のアレルギー性結膜炎の患者がいるそうです。

症状は目のかゆみやゴロゴロした異物感

季節性アレルギー性結膜炎は、一般的な花粉症と同様、スギなどの花粉に対するアレルギー反応で生じます。
花粉が目や鼻の粘膜から体内に侵入すると、免疫細胞のリンパ球が反応して抗体を作ります。この抗体が肥満細胞と合体して、再び入ってきた花粉をキャッチすると、肥満細胞からはヒスタミンなどの化学物質が放出されます。このヒスタミンが目ではかゆみなどの症状をもたらすのです。

目に症状が出やすいのは、瞳が外界と直に接しているためアレルゲンが付着しやすいこと、涙によってアレルゲンが溶かされやすいことなど、いくつかの理由があるようです。

季節性アレルギー性結膜炎の症状は、目のかゆみとゴロゴロとした異物感です。涙や目やにが出ることもあります。これらは両目同時に起こるのが特徴です。

目や目の周りはとてもデリケートです。かゆいからといって掻いたり、叩いたりしてしまうと目を傷つけてしまうおそれがあるのでやめましょう。
また、掻けば掻くほどかゆみが増し、症状悪化にもつながります。

かゆいときは防腐剤フリーの人工涙液で洗眼を

季節性アレルギー性結膜炎で大事なのは、一般的な花粉症と同様で「アレルゲンをくっつけない」「くっついたらすぐに洗い流す」という2つ。

くっつくことを予防する策はメガネ。できれば専用のゴーグルをつけたいところですが、一般的なメガネでも花粉の付着を予防できるそうです。
また、家に帰ってきたら早めに化粧を落とし、顔に付いた花粉を洗い流しましょう。
日本眼科学会は、目を傷つける恐れがあるという理由で、洗眼はお勧めしていません。
ただ、目薬で目を洗うという方法はよさそうです。
使うのは、防腐剤の入っていない「人工涙液」タイプの目薬です。目に数滴垂らすことで、目の表面にくっついたアレルゲンを洗い流すことができます。防腐剤が入っていないということは雑菌が入りやすいということ。1回で使い切りましょう。

治療は目薬中心。飲み薬も

季節性アレルギー性結膜炎の治療は、抗アレルギー薬の目薬(点眼薬)が中心になります。
眼科で処方してもらうこともできますし、市販もされています。医師や薬局の薬剤師に相談してみるといいでしょう。

この時期のコンタクトレンズは目の症状を悪化させるリスクがあるので、日ごろ使っている人は、一度眼科で相談を。使い捨てタイプなどであれば、この時季でも使えるといわれています。

一般的な花粉症では飲み薬を使います。漢方薬では、「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」が用いられることもあります。

花粉症には漢方薬も!小青竜湯

例年症状がある人は、少し早めに薬を使い始める「初期療法」という方法をとってもいいかもしれません。花粉の飛ぶ前から治療を始めることで、症状を軽くしたり、症状が現れる期間を短くしたりすることができるといわれています。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

参照

日本気象協会
https://tenki.jp/pollen/expectation/

日本眼科学会
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=13

日本眼科医会
https://www.gankaikai.or.jp/health/33/

Mar 4 2020

医療ライター・山内

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