漢方ビュー通信

繰り返す下痢や腹痛…突発的に起こる過敏性腸症候群とは

繰り返す下痢や腹痛…突発的に起こる過敏性腸症候群とは

不安感や苛立ち、緊張感、焦燥感などの精神的な負担から感じる下痢や腹痛──
厄介なのは、この症状が突発的に繰り返し起こってしまうことです。

このように、日常の生活に支障をきたすような下痢や腹痛のことを「過敏性腸症候群」といいます。

今回は薬剤師である筆者が、過敏性腸症候群の症状と対策について解説します。

過敏性腸症候群はストレスや不安が引き金に

過敏性腸症候群は、大腸の運動や分泌機能の異常で起こる病気の総称です。
器質的な病気などが見られないにもかかわらず、慢性化し再発を繰り返す機能性の疾患で、下痢や便秘、腹痛、膨満感などを引き起こします。

特に、20~40代のストレスを多く抱える神経質な人に現れやすいとされ、自律神経の乱れから、鬱やめまい、動悸、不安感、不眠、頭痛などの症状を併発することもあります。

また、過去の失敗がトラウマになり、過剰に不安を感じることで下痢を誘発してしまうということもあるようです。

過敏性腸症候群はストレスや不安が引き金に

過敏性腸症候群の種類

過敏性腸症候群には、大きく4つの種類があるとされています。次に、それぞれ解説します。

<便秘型>

腸が緊張状態となり動きが悪くなることで、便が長時間停滞してしまいます。すると、腸内の水分が過剰に吸収され、コロコロとした硬くなった便になります。

<慢性下痢型>

外出時に突然腹痛や便意を感じます。大腸の動きが過剰となり、腸内の水の吸収が不十分なまま排便され、軟便や下痢となります。

<混合型>

便秘型と慢性下痢型を、数日ごとに交互に繰り返すタイプです。

<分類不能型>

上記に該当しない腸の不調によるものです。

過敏性腸症候群の対策

過敏性腸症候群の原因は、精神的・身体的ストレスによるケースが多いとされています。
日常の生活からストレスを完全に無くすことは困難かもしれませんが、症状を少しでも軽減する対策としていくつか紹介します。

ふだんの食事を見直す

炭水化物や脂肪分を含んだ食事を避け、また、唐辛子などの刺激物やアルコールやコーヒー、冷たい飲食物、牛乳などもなるべく控えるようにしましょう。
これらの摂取は、自分のカラダの状態を確認しながら調整することが大事です。

西洋薬による対策

症状がツライときには、医薬品による対策も有効です。
腸内に存在する神経伝達物質であるセロトニンをコントロールするものや整腸剤、抗不安薬、止瀉薬(ししゃやく)、緩下剤など多数あります。

漢方薬による対策

下痢や便秘、緊張、不安、膨満感など過敏性腸症候群でも症状はさまざまです。
漢方薬を用いることで、感じている不調にアプローチする対処療法だけではなく、原因となる精神的な症状をフォローすることができる場合もあります。
漢方薬はその人の症状や体調によって処方が異なるので、服用の際は十分に効果を発揮するためにも、詳しい医師や薬剤師に相談するようにしてください。

漢方薬

過敏性腸症候群は、重い病気ではないと思いがちですが、ツライ症状があることには変わりません。
いくつか対策も紹介しましたが、何より効果的なのは生活習慣の見直しです。少しでもストレスの軽減ができるように、リラックスできる時間の確保や規則正しい生活リズムを目指すことが大事です。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Jun 5 2020

薬剤師・大久保 愛

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