漢方ビュー通信

その肩こりの悩み、漢方で改善できるかも!?

その肩こりの悩み、漢方で改善できるかも!?

仕事でパソコンを長時間使用する人や、スマホの画面をよく見る人などに、「肩こり」の悩みを抱えている人は男女問わずたくさんいるのではないでしょうか。
中には、症状が悪化して、頭痛やめまいなどに苦しんでいるケースもあるようです。

そこで今回は、つらい肩こりの予防法や、症状の改善法を、漢方の観点からお伝えします。

肩こりの原因は?

肩こりに関係する主な筋肉は、首の後ろから肩、背中にかけて張っている「僧帽筋(そうぼうきん)」という幅の広い筋肉とされています。
そして、私たちの肩には腕や肩甲骨に加え、約6~7キロもある頭部の重さがのしかかっています。
つまり、人間のカラダは肩の筋肉に負担がかかりやすい構造になっているのです。

また、アジア人は欧米人に比べて筋肉量が少ないため、筋肉への負担が大きく、肩こりを起こしやすいともいわれています。
さらに、長時間同じ姿勢を続けたり、精神的ストレスを抱えていたりするなどの条件が加わると、肩の筋肉が緊張して血液の流れが悪くなり、疲労物質が溜まったり、ビタミンの補給がうまくいかなくなったりします。
その結果、筋肉がこわばって肩こりが生じてしまうのです。

日々の生活習慣も多いに影響します。
姿勢の悪さや眼精疲労、運動不足のような悪習慣は、自律神経の乱れや血流悪化を引き起こしやすくなります。
このような悪習慣を解消することが、肩こり改善への第一歩となるでしょう。

肩こりの原因は?

肩こりのつらい症状に効く養生法

肩こりの症状があまりにもひどい場合は、内臓疾患等の原因があったり、手術が必要な場合もあるため、専門の病院を受診することをおすすめします。
しかし、それ以外の日常的な動作によるこりや痛みの場合は、日々の養生法によって改善することがあります。

漢方では、肩こりのようなカラダの痛みは、血行不良や水分のバランスの乱れが原因と考えられています。そのため、症状改善のためには“冷やさないこと”と“温めること”がとても大切なのです。

例えば、血行不良を防ぐため、冷房が効いている環境下などで寒いと感じるようでしたら、防寒対策をしてください。季節を問わず、薄いショールなどを持ち歩くとよいでしょう。
帰宅したら湯船にゆっくりと浸かり、筋肉のこりやこわばりを解消し、カラダを温めるのも効果的。
さらに、入浴後や就寝前には、ストレッチやマッサージ、指圧などで緊張した筋肉をほぐしましょう。

エクササイズやストレッチも、血流や水分代謝を上げるために有効です。
なるべく長時間の同じ姿勢は避け、ふだんからストレッチの習慣をつけ、筋肉を伸ばすように心がけましょう。その際、こまめに水分補給(ミネラルや塩分が入ったもの)も忘れずに行いましょう。

肩こりのつらい症状に効く養生法

肩こりで悩んでいる人にも漢方薬

肩こりの改善に期待できる漢方薬の一例を紹介します。

葛根湯(かっこんとう)

風邪の引き始めに用いることが多い漢方薬ですが、じつは、肩こりにも用いられる場合があります。
発熱や発汗、頭痛などがない場合でも、うなじや背中が緊張している筋肉疲労などに用いることがあります。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

瘀血(おけつ)」といって、血流が滞っている症状などに用いられる漢方薬です。
婦人科でよく処方される代表的な漢方薬でもあります。
赤ら顔、のぼせやすいのに足が冷える、下腹部が張って痛む人に向いており、肩こりを始め、頭重やめまい、月経異常、更年期症状にも用いられます。

漢方薬

このように、肩こりのタイプによって、用いる漢方薬は異なります。
なので、自分の症状に合っていない漢方薬を服用すると、改善を実感できないこともあります。
漢方薬は現れている症状以外に、その人の体質や体調も診ながら処方されますので、これから試してみたいと考えている人は、専門の医師や薬剤師に相談してみてくださいね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Nov 24 2020

薬剤師・森田博美

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