「感染性胃腸炎」対策にも、こまめな手洗いが大切
コロナ禍の感染対策で軒並み減少も…
これからの時期、気を付けたいのが「感染性胃腸炎」。
代表的な食中毒のひとつで、原因はノロウイルスという微生物です。
手洗いやアルコールによる手指消毒など、コロナ禍で感染対策をしっかりするようになったことが功を奏し、感染症や食中毒の発生は軒並み減少傾向にあります。
ただ、そのなかでも注意したいのが感染性胃腸炎だといわれているのです。
空気中で1週間、水中で2カ月生き続けるウイルス
ノロウイルスは約30ナノメートルほどの球形をしたウイルスで、いくつかのタイプに分かれています。
また、変異を起こすたびに新しいウイルスに替わり、大流行を起こしています。
インフルエンザのようにワクチンができないのは、こうした変異のためといわれています。
さらに、ノロウイルスはインフルエンザウイルスに比べて“強い”ことがわかっています。
例えば、ステンレスに付着したノロウイルスは室温で1週間ぐらい(インフルは長くても2日程度)、空気中でも1週間ぐらい(同数時間)生存しています。水温が4℃ぐらいであれば水中で2カ月以上(同2~3週間)も生き続けます。
熱にも強く、85℃~90℃の熱で90秒以上加熱しないと死滅しません。
汚染食品を食べて1~2日後に発症
厚生労働省の調査によると、2020年の感染性胃腸炎による食中毒の発生件数は80件、患者数は2,500人に上ります。
ただ、これは飲食店などで集団発生したケースだけであり、家庭内で発生したケースは含まれていません。
つまり、この数は氷山の一角で、実際はもっと多いというわけです。
感染性胃腸炎は、ウイルスが付着した食品を食べて1~2日後に発症します。
主な症状は吐き気や嘔吐、下痢、腹痛など。なかでも下痢と嘔吐の症状が強く表れるのが特徴で、脱水症状を起こすこともあります。
治療薬はないので、医療機関では水分摂取や点滴で脱水を抑える対症療法が行われます。
急性胃腸炎、急性腸炎では漢方薬が使われることもあります。
予防の基本は加熱と手洗い
ノロウイルスは、カキなど二枚貝の腸管に潜んでいます。
スーパーマーケットなどで売られているカキには、「生食用」「加熱用」があります。生食用なら安全と思うかもしれませんが、そういうわけではありません。
じつは、生食用とは、海水の汚染状態などをもとに決められた海域で捕れたカキかどうかを示しているもので、ウイルスがいないという意味ではありません。
また、新鮮なカキでも腸管にはウイルスがいるので、必ずしも安全とは限りません。
感染性胃腸炎から身を守るには、やはりしっかり加熱して食べることが一番です。
昨今、多くの人が実践している手洗いも有効です。帰宅後だけでなく、料理前や料理中、食前もこまめに手洗いするようにしましょう。
アルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどは一定の効果があるとされています。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
参照
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/03.html
医療ライター・山内