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まとめ

子どもの下痢とは
下痢には、病原性微生物の増殖による「腸管感染症」とストレスが関係する慢性の下痢があります。また、下痢は子どもによく見られる症状の一つで、とくに心理的ストレスが関係していることが少なくありません。
子どもの下痢の治療
漢方では、「水(すい)」のバランスが悪くなっている「水毒(水滞)」の状態と考えます。水の代謝異常を改善する利水剤などが使われます。
病院での診察
漢方の診察では、独自の「四診」と呼ばれる診察方法をとり、体内の水の状態は舌を観察する「舌診」で推察します。
子どもの下痢

下痢は、子どもによく見られる症状の一つです。下痢には、病原性微生物の増殖による「腸管感染症」とストレスが関係する慢性の下痢があります。ちなみに、下痢と便秘を繰り返す「過敏性腸症候群(IBS)」は、ストレスで悪化することがわかっています。
感染性腸炎による下痢は軽症であれば自然に、あるいは整腸剤だけで治癒することが少なくありませんが、必要に応じて対症療法を行うこともあります。

子どもの下痢のメカニズム

下痢は、子どもによく見られる症状の一つです。突然起こる急性の下痢の多くは、病原性微生物がおなかの中に侵入して増殖する「腸管感染症」です。
腸管感染症の原因となる病原微生物はさまざまですが、ウイルスではロタウイルスやノロウイルスが代表的です。細菌性では、サルモネラ菌やカンピロバクター、腸炎ビブリオ、ボツリヌス菌、チフス菌、パラチフスA菌、O157でよく知られるようになった腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、赤痢菌、コレラ菌などがあり、食べ物や水などに混入して感染を起こします。感染性腸炎の場合は、下痢だけでなく発熱や腹痛、悪心、嘔吐などの症状をともなうこともあります。
一方、こうした原因がないのに続く慢性の下痢もあり、とくに子どもは心理的ストレスが関係していることが少なくありません。
下痢と便秘を繰り返す「過敏性腸症候群(IBS)」は、ストレスで悪化することがわかっています。

西洋医学的な治療

感染性腸炎による下痢は軽症であれば自然に、あるいは整腸剤だけで治癒することが少なくありません。必要に応じて症状をやわらげる治療(対症療法)を行いますが、腸管運動を強く抑制するタイプの止痢剤(下痢止め)や制吐剤は、腸管内にある消化物の停滞を招き、感染症を起こしている病原菌や体内の毒素の排泄が遅れることもあるため、避けたほうがよいとされています。
重症で全身状態が悪化している場合は、原因菌を除菌したり、二次感染や合併症を阻止するため、必要に応じて抗生物質が処方されることもあります。脱水症状がひどいときには、病院で輸液を行うなどの治療が必要になります。

漢方薬による治療

漢方では、下痢は「(すい)」のバランスが悪くなっている「水毒(水滞)」の状態と考えられています。漢方には「四診」と呼ばれる独自の診察方法があり、体内の水の状態は舌を観察する「舌診(ぜっしん)」で推察することができます。
この写真はお子さんの舌に見られた水毒の症状です。

舌診
写真提供:たんぽぽこどもクリニック 石川功治先生

舌の周囲に歯列痕と言いまして、舌の辺縁が波のような形で、ところどころに凹みが見られています。
また、舌も浮腫んだように腫れていて、舌に白い舌苔が見られています。
これらは、体の中の水まわりがよくないことを示す水毒の典型的な所見です。
水毒による下痢には、水の代謝異常を改善する利水剤などが使われます。急性の下痢に用いられる「五苓散(ごれいさん)」は、代表的な利水剤の一つ。突発的な下痢や嘔吐症状をやわらげます。下痢だけでなく吐いているときは、「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」を用いることもあります。
虚弱体質やおなかが冷えて慢性の下痢が続く場合には、体を温めて下痢を抑える「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」や「啓脾湯(けいひとう)」、「人参湯(にんじんとう)」が使われます。

※ すべての医師がこの診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。

監修医師

医療法人社団泰慎会たんぽぽこどもクリニック
院長
石川 功治先生
石川 功治 先生

1983年、獨協医科大学医学部卒業。同年、第75回医師国家試験に合格し、大学病院・総合病院で勤務。1989年、獨協大学医学部大学院卒業、医学博士号取得。1999年、日本医師会・千葉県医師会・野田市医師会に加入。同年、医療法人社団泰慎会たんぽぽこどもクリニックを開設。

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