カラダの不調。それってもしかして“うつ”が原因?
日本のうつ病患者はおよそ506万人
一般的にはあまり知られていませんが、4月7日は「世界保健デー」。これはWHO(世界保健機関)が定めたもので、世界レベルで病気を予防、健康を増進するためにさまざまな啓発を行っています。
そして、今年のテーマは「うつ病」。
折しも、WHOは2月28日に“世界で少なくとも3億2200人のうつ病患者がいる”と発表。わが国の患者数は約506万人と推計※されています。
異動や入学、入社などで環境が大きく変わることが多い春。今回はうつとカラダの関係について考えてみたいと思います。
※厚生労働省はうつ病などで医療機関を受診した人を集計し、約112万人と発表。(平成26年)
WHOの場合は専門家による推計値で、医師がうつ病と診断した人以外の人も含まれています。
ココロとカラダはつながっている
古くから伝わる漢方の考え方にある「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉。
“ココロとカラダは一つであり、ココロを健康に保てばカラダも健康になり、またカラダが健康であればココロにも健康がもたらされる”というものです。
うつ病というと、どうしても「気持ちの落ち込み」「興味や喜びなどの感情がわかない」「不安」「焦り」「集中力の低下」といったココロの症状をイメージしますが、実はうつ病はココロの症状だけでなく、さまざまなカラダの症状ももたらします。
カラダの症状は、睡眠障害(不眠や過眠)、食欲の低下、耳鳴り、息苦しい(呼吸困難)、体重減少、疲れ(倦怠感)、便秘・下痢、痛みなどさまざまで、とくに痛みについては、頭痛や肩の痛み、腰痛、関節痛など幅広く、痛みよりも「重だるい感じ」という感覚を持つ人もいるそうです。
症状のカギを握るのは「神経伝達物質」
では、どうしてうつでカラダに症状が起こるのでしょうか。
現在、うつ病が起こるしくみとして、脳内にある「セロトニン」や「ノルアドレナリン」などの神経伝達物質が関わっていることがわかってきました。
気分や感情、思考をつかさどるなど大切な役割を果たしている神経伝達物質は、うつ病になるとその機能が低下して、先ほど紹介したようなココロの症状をもたらします。
と同時に、これらの神経伝達物質は、睡眠、体温、歩行、消化、呼吸などにも関わっているため、カラダにも多様な症状が生じてしまうのだと考えられます。
まずは内科や整形外科などで原因を突き止めて
大事なのは、カラダの症状が何で起こっているかということ。
ですから、まずは内科や整形外科、脳神経外科などカラダの症状を診る医療機関にかかって、カラダの病気(器質的な病気)がないか診てもらうことが大切。
その上で、原因がわからないにもかかわらずカラダの症状が出ている、原因の治療をしたにもかかわらず症状が治まらないというような場合は、担当医と相談のうえで、うつ病の可能性を考えた診察をしてくれる医療機関を受診しましょう。
実は、うつの診断基準にはカラダの症状をみる項目がありません。したがって、医師からはカラダの症状について聞かれない可能性もあるようです。その場合、自分からカラダの症状についても伝えるとよいでしょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
WHO「Depression and Other Common Mental Disorders」
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/254610/1/WHO-MSD-MER-2017.2-eng.pdf?ua=1
厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-07-004.html
医療ライター・山内