漢方ビュー通信

その「ドキドキ」大丈夫?知っておきたい動悸とは?

その「ドキドキ」大丈夫?知っておきたい動悸とは?

健康な人の拍動は1分間に60~100回

仕事のプレゼンや結婚式でのスピーチなど、人前で話すときに緊張して心臓がドキドキする人は多いと思います。心配なことや不安なことがあったときも同じように、心臓がドキドキすることがあります。

通常、健康な人の心臓は1分間に60~100回、規則的に拍動しています。
この心拍は普段は意識することがありませんが、何らかの理由でドキドキを自覚し、違和感や不快感を覚えることがあります。これが「動悸」です。

動悸というと、心臓に原因があるのではないかと不安に思うでしょうが、じつは国内の調査によると心臓由来のものは4割ぐらいで、そこには不整脈や虚血性心疾患、心筋症、弁膜症、心房細動といった病気が考えられます。

動悸が起こる心臓の病気の種類と対応

動悸が起こる心臓の病気の種類と対応

不整脈とは脈が規則正しく打てていない状態を指し、不整脈の検査である心電図をとることで、さまざまな心臓病の可能性を見つけることができます。

虚血性心疾患は心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が狭くなったり、詰まったりする病気で、狭心症や心筋梗塞がそれにあたります。

心筋症は心臓の筋肉の異常によって心臓の機能が低下する病気、弁膜症は血液の逆流を防ぐ弁が機能しなくなる病気、心房細動は心臓にある血液を出し入れする部屋のひとつ「心房」がけいれんを起こした状態です。

こうした病気のなかには、対処が遅れると命に関わるものが少なくありません。
動悸のほかに胸の激痛、胸が締め付けられる、呼吸が苦しいといった症状があったら、迷わず救急車を呼ぶこと。救急車を呼ぶのに迷ったときは、全国版救急受診アプリ「Q助」や、「救急安心センター(#7119)」を利用してもいいでしょう。

動悸の6割は「心臓」以外が原因だった!?

一方、動悸が起こる原因の残り6割は、精神的なもの(うつ病、不安障害、パニック発作など)や、心臓以外の病気(甲状腺や呼吸器の病気、貧血、低血糖など)、薬剤によるものなどがあります。
日常生活では、アルコールも動悸をもたらす要因のひとつです。
さらに女性の場合は、妊娠や月経前、月経時、更年期の症状のひとつとして、動悸が現れることがあります。

西洋医学で対応できない場合には漢方

漢方薬

一般的に、甲状腺や呼吸器の病気があった場合は、それぞれの治療をしっかり行っていくことになります。また薬剤が原因として考えられるときも、必要に応じて処方の変更を検討されることがあります。

漢方は、こうした西洋医学的な治療を必要とされないケースや、明らかな器質的異常が見つからないケースに対応していきます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、炙甘草湯(しゃかんぞうとう)、桂枝人参湯(けいしにんじんとう)などを始め、その人の病態や体質によって、漢方薬を使い分けていきます。

日常生活の中で動悸が繰り返されると、「もしかしたら重い病気かも…」と不安になりがちです。
そうした不安を払拭するためにも、まずはしっかり医療機関で検査を受けて原因を突き止めること。その上で必要に応じた治療を行っていくことが大切です。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

参考

厚生労働省eヘルスネット「心拍数」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-032.html

政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201609/1.html

HEART nursing 2021 vol.34 no.1
治療 vol.95 no.10 動悸
総合診療 vol.25 no.1 動悸・息切れを治す漢方治療

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Aug 17 2021

医療ライター・山内

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