漢方ビュー通信

「たかが頭痛ぐらい」とは思わず、きちんと対処を

「たかが頭痛ぐらい」とは思わず、きちんと対処を

国民の10人に4人が頭痛持ちという事実

ズキズキ、ガンガン…、仕事や家事に大きな影響を及ぼす「慢性頭痛」。
国内では4,000万人が頭痛持ちといわれており、多くの人が悩んでいる病気のひとつである一方で、「たかが頭痛ぐらいで」と痛み止めを飲んで、あるいは薬さえ飲まずにガマンしている人も少なくないといわれています。

しかし、頭痛はQOL(生活の質)を落とすだけでなく、プレゼンティーイズム(仕事におけるパフォーマンスの低下)をもたらす疾患であることがわかってきました。

二大慢性頭痛、片頭痛と緊張性頭痛の特徴は?

慢性頭痛には大きく、片頭痛緊張性頭痛群発頭痛に分けられます。

片頭痛は30~40代の女性に多い頭痛で、頭の片側がズキンズキンと脈打つように痛むのが特徴です。気圧の変化や季節の移り変わりなどがきっかけになることも多く、特に今の時期に痛みが出る人が多いようです。
痛みは月に数回ほど繰り返され、また、吐き気やおう吐が現れたり、光や音で痛みが増したりします。痛みが来る前兆として、稲妻のような光が見える閃輝暗点(せんきあんてん)が生じることもあります。
最近になって、顔や頭を走る三叉神経から放出されるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)というタンパクが脳の血管を拡張して、痛みを起こすことがわかってきました。
ちなみに、「偏頭痛」という漢字をときどき見かけますが、正しくは「片頭痛」です。

緊張性頭痛は、後頭部や首の周りの筋肉の緊張によって起こるもので、こめかみや後頭部が締め付けられるように痛みます。肩こりや首こりを伴うことが多く、フワフワしためまいが現れることもあります。

数は少ないが痛みは激烈。群発頭痛とは?

数は少ないが痛みは激烈。群発頭痛とは?

群発頭痛は圧倒的に男性、特に若い人に多く見られます。片頭痛や緊張性頭痛よりも患者数は少ないとされていますが、痛みがひどく、やっかいな頭痛です。
痛みは片側の目の奥やその周辺に及び、額やこめかみ、頬、あご、首にまで広がります。「焼けるような」激しい痛みが特徴で、数十分から数時間にわたって続きます。
こうした激しい痛みは、ほぼ同じ時間に始まり、数週間から数カ月にわたって続いたあと、パタッと止むのが特徴です。
痛み以外に、目の充血や涙、目の痛み(目をえぐられるような強い痛み)、顔の紅潮、鼻水・鼻づまりといった症状が伴うこともあります。

キケンな頭痛でないことを確かめることも大事

片頭痛の人の74%、緊張性頭痛の人の40.5%が「日常生活に支障をきたしている」にも関わらず、医療機関で診断を受けたり、治療している人の数は多くありません。

頭痛の場合、市販の痛み止めで症状を軽減させることもできますが、なかには服用量が増えてしまい、薬物乱用頭痛を起こしている人もいます。
最近では、片頭痛では痛みを抑える薬だけでなく、痛みを予防できる薬も新しく登場しています。緊張性頭痛や群発頭痛でも、薬物療法を中心に、理学療法や鍼灸などを組み合わせた治療が行われています。

何より、頭痛が命に関わるキケンな頭痛でないかどうか診てもらうことも重要です。
いずれにせよ、慢性頭痛に悩んでいたら、一度、頭痛に詳しい医師に相談することをおすすめします。

頭痛の改善に期待できる漢方薬

漢方薬

さて、頭痛の治療では鎮痛薬をはじめ、さまざまな薬が使われていますが、漢方薬もその選択肢のひとつに含まれています。
よく用いられる漢方薬としては、「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」や「桂枝人参湯(けいしにんじんとう)」、「釣藤散(ちょうとうさん)」、「葛根湯(かっこんとう)」、「五苓散(ごれいさん)」などが挙げられます。
気になるようでしたら、一度、漢方薬の服用についても医師や薬剤師に相談してみてもいいかもしれません。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

参考

慢性頭痛の診療ガイドライン2013
https://www.jhsnet.net/GUIDELINE/gl2013/gl2013_main.pdf

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic

Oct 29 2021

医療ライター・山内

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