漢方ビュー通信

カラダが“冷え”ていると、睡眠の質はさらに低下する!?

カラダが“冷え”ていると、睡眠の質はさらに低下する!?

カラダが冷えやすい人は、冬になると寝つきが悪くなったり、朝起きづらくなったりと、睡眠について悩むことが増えてきませんか。
これは、単に寒さがつらくて眠れないということではなく、冷えやすい人には睡眠の質を低下させる要因があるためです。電気毛布や入眠剤が対策にならないことが多いのはこのためです。
大事なのは、「眠りたい!」と思うタイミングにだけ対策を取るのではなく、日中の過ごし方から気を付けておくことです。

そこで今回は、薬剤師である筆者が、冬に低下しやすい「睡眠の質」について解説します。

冷えと睡眠の質の関係

私たちは、ぐっすり眠ろうとするとき、カラダの中心部の体温が下がる仕組みを持っています。
例えば、夕方から夜にかけて深部体温は上がっていきますが、それがグッと低下するタイミングに眠気を感じるようになります。
そして、その後徐々に体温が下がっていき、早朝あたりに深部体温が最も低くなります。
(ちなみに、一日のうちで深部体温は、1~1.5度程度変動するとされています。)

そのため、常日頃から“冷え”を感じている人は、もともとカラダが冷えているため、すんなりと良質な睡眠につくことが難しくなります。
血流が悪く、冷えをひどく感じるタイプの人の睡眠の質が低下しやすくなるのは、こういった理由があったのです。

ぐっすり眠るには、日中の過ごし方が大事

ぐっすり眠るには、日中の過ごし方が大事

良質な睡眠を得るには、日中から「温活」を行うことがポイントとなります。
例えば、血流を良くするためにスクワットをしたり、マッサージをしたり、お風呂にしっかり浸かったり、血管を収縮させる原因となるストレスをためないように気分転換をしたり、冷たい飲み物を控えたりすることなどが挙げられます。

そして、睡眠につく際には、「メラトニン」という眠気を誘発する物質の存在も重要になります。
メラトニンは、朝起きてから太陽の光を浴びて14~16時間後に増えていきます。そのため、休みの日に寝だめをしていたり、カーテンを閉め切った暗い部屋で日中過ごしていたりすることもNGです。休みの日でも、なるべく朝日を浴びるような習慣を身につけるようにしましょう。

入眠剤だけに頼るのではなく、漢方薬も一考を

自律神経の乱れには漢方薬が効果的な場合も

眠れない日が続くと、より不安感が増し、動悸が起きてしまったり、プレッシャーから目が冴えてしまったりしてしまいます。なので、安定的に効果が期待できる入眠剤を頼る人が一定数いるのも事実です。

ですが、自分の生活の中で改善できるポイントがないか、ここでもう一度考えてみましょう。
このまま原因が分からず、入眠剤のみに頼らないといけないカラダになってしまっては、この先不安ですよね。
可能な限り、眠る前のスマホ(ネットサーフィンやゲーム)などの液晶画面からの刺激、アップテンポな音楽、アルコールの過剰摂取などは努力で改善するようにしましょう。そして、先述した日中の過ごし方も実践してみましょう。

こうしている間に、ぐっすりと眠れるようになるとよいのですが、それでもなかなか改善しない場合は漢方薬を試してみるのも手段のひとつです。
漢方薬の中には、睡眠の質を向上したり、不安でどうしても寝付けない時にサポートしてくれるものもあります。
まずは、できることから試し、さらに睡眠の質を上げていきたいと考える人は、お近くの漢方に詳しい医師や薬剤師に相談しながら、自分に合った最適な方法を見つけていきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic

Nov 12 2021

薬剤師・大久保 愛

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