漢方ビュー通信

どのくらい運動すれば健康になるの?そんな疑問に答えます

どのくらい運動すれば健康になるの?そんな疑問に答えます

最近、運動不足を感じていませんか?
自粛期間が長期化した影響で、運動量が大幅に低下した人が増えているようです。
ですが、そんな環境にいち早く危機感を感じた人の中には、ジムに通い始めたり、ランニングする習慣がついたりした人も一定多数いるようで、運動量に関してはどうやら二極化してきたようにも感じられます。
さて、みなさんはどちらに当てはまるでしょうか。

そもそも、私たちは健康を維持するために、食事・運動・睡眠の3つの習慣をよいものにしていく必要があります。それぞれバランスよく効果的に実践していくことが大事ですが、今回はその中の「運動」をピックアップしたいと思います。

“適度な”運動は健康維持に不可欠です。しかし、運動のし過ぎとなると逆効果になる場合もありますので、薬剤師である筆者が、健康と運動の関係について詳しく解説します。

適度な運動がもたらすメリットとは

適度な運動は世代によって異なりますが、いずれも“今より少しでも身体活動や運動習慣を増やす”という意識を持つとよいでしょう。
例えば、水泳やジョギングなどの有酸素運動が好ましいですが、手軽に行えるウォーキングが継続しやすくおすすめです。1駅分歩いてみたり、エスカレーターを使わずに階段を利用してみたりと、工夫次第で“適度な運動”を簡単に実践することができます。

また、適度な運動を継続していると、全身の血液やリンパの巡りが促されるため、免疫細胞が全身を巡り生体防御機能が高まります。さらに、体温も上がるので免疫細胞が働きやすくなるのです。他にも、エネルギー代謝がよくなることで肥満の改善や、ストレス解消にも効果があるとされています。

過度な運動は免疫の低下に!?

過度な運動は免疫の低下に!?

では、逆に過度な運動をしてしまうと、カラダにどのようなことが起きるのでしょうか。

例えば、アスリートは意外と風邪を引きやすいとされていますが、それは過度な運動が原因といわれています。
というのも、アスリートは高強度の運動によって、喉や鼻、目などの粘膜に含まれる分泌型免疫グロブリンA(SIgA)を減少させてしまい、さらにはコルチゾールというホルモンの分泌が増えることによって、カラダの免疫が著しく低下しやすい状態にあるからです。

一方で、適度な運動になると、分泌型免疫グロブリンA(SIgA)は増加し、免疫の向上につながります。具体的な目安としては、1日7,000〜10,000歩を歩いたり、緩い運動を1日20分以上で週3回続けたりするとよいでしょう。
くれぐれも、アスリートのように激しい運動をしたり、ストイックになり過ぎたりしないように気をつけること。
また、生活習慣病や持病のある人は、カラダに負荷がかかりすぎると健康を害する恐れがありますので、運動前にかかりつけ医などに必ず相談するようにしましょう。

生活習慣の見直しは健康寿命の長さに影響

一般的に、ジムなどで会話をしながら笑顔で行えるような強度の運動がおすすめです。
食事については、なるべくビタミンAやビタミンDを多く含むものを摂取すると、先述した分泌型免疫グロブリンA(SIgA)が増えるとされていますので、意識してみましょう。その際、よく噛んで食事をすることで、ストレスに打ち勝つために必要なセロトニンの分泌も促されます。

このように、日中の運動量や食事の状態が、睡眠の質の向上にも役立つため、食事・運動・睡眠の3つの要素を見直すことが健康維持、つまりは健康寿命の長さにもつながると考えられるでしょう。

腎女性

健康寿命については、漢方医学では「腎(じん)」の働きを強化するとよいとされています。
「腎」にまつわる漢方薬は、老化により生じる尿トラブル、ホルモンの異常、足腰の痛み、白髪や抜け毛など、さまざまな対策にもなります。
食事・運動・睡眠の3つの習慣の見直しに加え、漢方薬をプラスすることで、さらにその手助けになってくれるでしょう。

今の自分の体調に合った漢方薬を服用することが何より大事ですので、気になっている人は、かかりつけ医もしくはお近くの専門医や薬剤師に相談してみてくださいね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)


こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic

Dec 17 2021

薬剤師・大久保 愛

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