漢方ビュー通信

季節の変化によるホメオスタシスの乱れに要注意!

季節の変化によるホメオスタシスの乱れに要注意!

日本には四季があり、四季折々の楽しみが盛りだくさんです。
桜が一面をピンク色に染める春、海に囲まれた日本を思う存分楽しめる夏、赤や黄色に山々が色づく秋、雪化粧がきれいな冬、といったように春夏秋冬の四季があることは、心を豊かにしてくれます。
ですが、四季の移り変わりはスイッチのオンオフのようにはっきりと区別できるものではありません。暖かくなったり、寒くなったりとそれぞれの季節の特徴を行ったり来たりすることで、徐々に次の季節へと移り変わっていきます。
この時に頻繁に起こるのが、気圧の変化、気温の変化です。
私たちのカラダには「ホメオスタシス(生体恒常性)」といって、体外から受ける環境や内部の変化にかかわらず、一定の状態に保つ力があります。季節の変わり目には、この一定の状態に保つ働きを酷使することになり、体調不良を感じさせることがあります。

そこで今回は、薬剤師である筆者が、季節の変わり目の体調不良について解説します。

冬から春への移り変わりに不調を起こしやすいのはナゼ?

寒く、日照時間の短かった冬から、ポカポカの春へと移行するとき、日本列島の上空には停滞前線が訪れます。この影響で、低気圧や寒暖差などの季節の変わり目特有の変化を体感することになります。
その際に働くのが、冒頭でお伝えしたホメオスタシスの機能のひとつである「自律神経」です。

自律神経は、臓器の働きを正常に保ったり、体温の維持をしたり、血流を促したり、メンタルを安定させたり、睡眠の質を向上させたりと、生きていくために必要となるさまざまな機能を調整してくれるものです。

ですが、冬から春への激しい気候の変化は想像以上にカラダにとって負担となるため、自律神経が乱れやすく、さまざまな不調を引き起こしやすくなってしまいます。

冬から春への移り変わりに不調を起こしやすいのはナゼ?

ホメオスタシスの乱れが不調の原因!?

私たちのカラダに備わっているホメオスタシスは、自律神経・免疫・内分泌の3つの機能のバランスによって成り立っています。
そのため、仮に自律神経が乱れるとバランスを崩してしまい、それに連動して免疫と内分泌も乱れてしまいます。すると、ホルモン分泌にも影響し、PMSや生理不順、むくみ、肌荒れ、生理痛などの女性特有の不調を感じやすくさせてしまいます。

ちなみに、免疫とは外部から侵入する異物からカラダを守ってくれる機能で、内分泌とは女性ホルモンや男性ホルモンといったホルモン分泌を司る機能のことを指します。

不調が出る前に日頃から対策を

ホメオスタシスの乱れの原因を特定するのは難しいことですが、自分がどんな天気のとき、どんな生活リズムのとき、どんな食事を続けたときに不調を感じやすいのかをあらかじめ把握しておくことが、次の不調を引き起こさないために最低限必要なことでしょう。

今までのように、ただ不調が起きるのを待っているだけでは何も変わりません。
事前に対策をとり、不調が起こらないように気を付けることで、結果は大きく変わってくると思います。そして、その対策方法のひとつとして、漢方薬の活用がおすすめです。
漢方薬は個々の状態(体質・体力・抵抗力・症状の現れ方)や、不調の原因を探るための漢方独自のものさし(気・血・水)などの要素から診て処方されます。
自分に合った漢方薬が分からない、本当に漢方薬で改善されるのかなど、不安を感じている人も多いでしょう。まずは、かかりつけ医やお近くの漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてください。

漢方薬

天気予報を事前にチェックして気温や気圧の差が大きくなりそうなとき、外食の予定があり食べ過ぎてしまいそうなとき、仕事がたてこみ寝不足が続きそうなときなど、ある程度予測できると思います。
そこで、都度、漢方薬を服用して、生活をサポートするように習慣づけすると、ホメオスタシスが大きく乱れることが軽減され、不調を感じにくくなると思います。

いかがでしたか?
このように、“不調”として結果が出てしまう前に対策をとることが、ホメオスタシス(生体恒常性)を乱さず元気に過ごすコツになります。もし最近不調を感じることが増えたり、元気ハツラツに過ごせていないなと感じている人は、漢方薬をサポート役として活用してみてはいかがでしょうか。

Jan 28 2022

薬剤師・大久保 愛

関連コンテンツ