漢方ビュー通信

知っておきたい、今年の花粉症とアレルギー性鼻炎

2022年のスギ花粉の飛散時期、飛散量は?

スギやヒノキによる花粉症に悩む人にとって、憂うつな季節がやってきます。
日本気象協会の「2022年 春の花粉飛散予測(第2報)」によると、スギ花粉の飛び始めは全国的に例年並みで、早いところでは2月上旬から。飛散量は九州から関東甲信で例年並みか少なく、東北と北海道は例年より多いとのこと。

コロナ禍で年中マスクをつけるのが当たり前になったとはいえ、油断大敵。
花粉症対策は早めに始めるのが肝心です。
マスクだけでなくゴーグルや帽子で花粉の付着を防ぐ、衣類に付いた花粉を家に持ち込まない、帰宅後はうがいや鼻うがい、目の洗浄をする、つらくなる前に薬を飲むなど、対策を取るようにしましょう。

ダニやカビなどで発症するアレルギー疾患

花粉症は季節性のアレルギー性鼻炎であり、通年性のアレルギー性鼻炎(以下、アレルギー性鼻炎)を併発している人も少なくないようです。そこで、ここからは主にアレルギー性鼻炎について解説します。

花粉症はその名の通り、花粉が原因になるアレルギー疾患ですが、通年性のアレルギー性鼻炎はダニや真菌(カビ)、人やペットの皮膚、フケなどがまざったハウスダストが原因で発症します。昨今は、気密性のよいマンションなどに住む人が多くなったことで、アレルギー性鼻炎が増えているといいます。

調査で判明。4人に1人がアレルギー性鼻炎持ち

症状を起こす原因物質のことをアレルゲン(抗原)といいますが、アレルギー性鼻炎がある人はこのアレルゲンを吸い込むことで、発作的にくしゃみや水っぽい鼻水が出ます。やっかいなことに、アレルゲンが消失しても症状が続くことが少なくありません。

2019年の調査によると、4人に1人がアレルギー性鼻炎にかかっているとのこと。決してまれな病気ではない、ということです。
いつも鼻水が出てグズグズしている、年中鼻がつまっている…といった症状がある人は、もしかしたらアレルギー性鼻炎かもしれません。一度、耳鼻咽喉科で診てもらうといいでしょう。

自分のアレルゲンがわかる検査「RAST」とは?

花粉症と同様、アレルギー性鼻炎でもアレルゲンが何かを特定することが可能です。
「RAST(特異的IgE抗体検査)」という検査で、血液中に含まれるアレルゲンとされるさまざまな原因物質に反応するIgE抗体の強さをスコア化して、判定します。

RASTによって自分がどんなアレルゲンに反応するかがわかれば、そのアレルゲンを除去したり回避したりする対策をとることができます。健康保険が使える検査ですので、耳鼻咽喉科を受診した際に相談してみるといいかもしれません。

「日中眠い」など日常生活に支障が出ることも

アレルギー性鼻炎では、原因となるアレルゲンが除去しきれないこともあり、セルフケアだけでは完全に症状をなくすことは難しいといえます。
症状が軽くて日常生活に支障がなければ、そのまま症状と付き合っていくという考えもありますが、睡眠がとれない(日中に眠気に襲われる)、鼻づまりで集中できないなどの支障がある場合は、薬による治療などを検討してもいいかもしれません。

治療は症状や重症度に応じて、第2世代抗ヒスタミン薬や、鼻に噴霧するステロイド薬などが用いられますが、漢方薬も使われています。
漢方ではアレルギー性鼻炎を「水(すい)」の異常として捉えていて、治療ではこの水の異常を解消する漢方薬が用いられています。

漢方薬

花粉の時期はもう始まっているようです。
今年は何としても症状を軽くしたい、抑えたいという人は急いで対策を。また、その対策に漢方薬を検討している人は、ぜひかかりつけ医や漢方に詳しい医師、薬剤師に相談してみてくださいね。

参考

日本気象協会
https://tenki.jp/

アレルギーポータル(日本アレルギー学会/厚生労働省)
https://allergyportal.jp/knowledge/allergic-rhinitis/

環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/
「調剤と情報(Vol.27 No.3)」特集

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Feb 4 2022

医療ライター・山内

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