漢方ビュー通信

試験前、プレゼン前にお腹が…どうして“急性の下痢”になるの


便の中の水分量が200mLを超えると下痢便に

大事な試験やプレゼンテーションの発表の前に、急にお腹がキュルュキュルして、トイレに駆け込んだ…。そんな経験を持つ人は、意外と多いのではないでしょうか。
なぜ急にお腹を下してしまうのか、その原因や対策について紹介します。

まず、お腹(大腸)の役割からみてみましょう。
大腸は長さ1.5mほどの器官で、水分やミネラルを吸収したり、食物繊維など残った食べもののカスや腸内細菌の死骸などを排泄したりする働きがあります。
下痢とは「水分の多い便、固形ではない便が高い頻度で排泄されること」をいい、便の中の水分量が200mLを超えると、下痢便となります。

下痢はなぜ起こるのか

下痢は、「細菌や毒素によって腸液の分泌が増える」、「食べものの吸収が悪かったり、人工の成分を摂り過ぎたりする」、「腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になりすぎる」、「炎症が起きている」といった理由で起こります。

今までは何ともなかったのに急にお腹が痛くなって、お腹が下る「急性の下痢(2週間以内)」と、常にお腹がゆるい「慢性の下痢(3週間以上)」があります。
急性の下痢は、消化不良や食中毒、感染(細菌性胃腸炎、ウイルス性胃腸炎)、薬の副作用などで生じることが多く、慢性の下痢はもともとの体質もありますが、潰瘍性大腸炎やクローン病などの病気が隠れている可能性もあります。

大腸は自律神経にコントロールされている

試験やプレゼン、会議の前などの緊張する場面でお腹が下るのは、大腸を含めた消化管が自律神経によってコントロールされているためで、「腸は第2の脳」といわれる所以でもあります。
緊張したり、過度なストレスがかかったりすると、腸の蠕動運動が過度になります。その結果、水分がしっかり収集されないまま、排便されるため下痢便になるというわけです。

この<緊張やストレス→下痢>が長く続くようなら、過敏性腸症候群(IBS)の慢性下痢型の可能性もあります。今は治療薬や対処法もあるので、一度、医療機関に相談したほうがよいでしょう。

緊張する日の前日は食事でしっかり予防を

いずれにせよ、病気が背景にない下痢ではセルフケアでの対処が可能です。
特に、翌日に緊張するような状況がわかっているような場合は、できるだけ下痢になりにくい食生活を心がけることが大事でしょう。具体的には次の通りです。

・暴飲暴食を避けて、腹八分目にする
・消化のよい食べものを摂り、冷たい飲みもの、刺激物、カフェイン、多量の脂質、アルコールは控える
・腸内環境を整える食べもの(ヨーグルトや乳酸菌入りの食品)を摂る

このほか、小麦やタマネギ、リンゴ、トウモロコシ、ハチミツなどは小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすいため下痢の原因になりやすいといわれています。心あたりがある人は、摂るのを控えめにするなど気を付けたほうがいいかもしれません。

それでも起こってしまった急な下痢には、下痢止めも有用です。
薬局やドラッグストアでも扱っているので、薬剤師や登録販売者に相談をしてみましょう。
また、漢方薬もストレス性の下痢に有用なものがあるので、試してみたいという人は漢方に詳しい医師や薬剤師に聞いてみるとよいでしょう。

原因不明の微熱には漢方がオススメ
参考

「胃腸の病気と漢方の本」
消化器ナーシング Vol.26 No.11 下痢のアセスメント
Gノート Vol.7 No.8 過敏性腸症候群
Eヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Feb 7 2022

医療ライター・山内

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