便秘と下痢を繰り返す…もしかして「過敏性腸症候群」!?
突然ですが、「過敏性腸症候群(IBS)」という病気をご存知ですか?
あまり聞き慣れない病名かもしれませんが、じつは現代社会に急増しており、定期的にひどい便秘に悩まされたり、緊張することでお腹を下しやすくなったりする症状です。どのタイミングで、いつお腹が痛くなるかとヒヤヒヤして過ごすのはとてもツライですよね。
今回は薬剤師である筆者が、過敏性腸症候群の対処法としてオススメの食材を3つご紹介します。
「過敏性腸症候群」ってどんな病気?
腸に炎症やポリープなどの病気がないのに、慢性的に腹痛をともない便秘や下痢を交互に繰り返す厄介な病気です。ストレスなど感情の波が、腸のぜん動運動に障害をきたすことで起こることが多いと考えられています。いつ症状が治まるのかと、不安を抱えながら生活している人も多いと思います。
そのような症状に思い当たる人は、以下の項目でセルフチェックしてみましょう。
下痢と便秘を交互に繰り返す
通勤中にお腹が痛くなりやすい
お腹がよく痛くなる
残便感をよく感じる
1カ月以上、下痢もしくは便秘が続いている
おならがよく出る
お腹が張りやすい
緊張するとお腹が痛くなりやすい
排便すると腹痛が軽くなる
緊張しやすくストレスに弱い
3個以上該当する人は注意が必要です。身近な医療機関(内科、消化器科、胃腸科など)を受診されることをオススメします。
参考までに、日本消化器病学会のガイドラインも記します。
IBSの診断基準(ローマⅢ基準)
最近3カ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、下記の2項目以上の特徴がある
1)排便によって症状がやわらぐ
2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)
日常生活からのストレスが原因!?
「過敏性腸症候群」は、精神的、身体的ストレスによるものが多いとされてます。
運動や知覚は、脳と腸の間の情報交換により制御されていて、ストレスによって不安状態になると、腸の収縮運動が激しくなって、痛みを感じやすい知覚過敏状態になります。この状態が強いことが「過敏性腸症候群」の特徴です。
精神的に耐え難いストレスを感じると、腸のぜん動運動に障害をきたし、便秘と下痢を繰り返すことがあります。また、疲労や睡眠不足、不規則な食事などの身体的ストレスでも同様の症状をきたすことがあります。
どちらも日常生活と密接に関わる要因なので、意識をしなければなかなか改善されにくいでしょう。
“腸活”応援食材3つ
お腹によいものとして、なかなか料理する習慣がなく、忙しい人でも食べやすい食材を3つ選びました。
1:キャベツ
粘膜の修復の助けになるビタミンUやビタミンC、ビタミンAなどが豊富に含まれています。また、食物繊維も腸の環境を整えてくれます。
ちぎって生のまま食べられるので、忙しい人にもオススメです。
2:リンゴ
リンゴに含まれるペクチンは、善玉菌のエサにもなり善玉菌を増やしてくれます。また、ポリフェノールも含むため粘膜の修復に役立ちます。
3:もやし
もやしは、食物繊維が豊富に含まれているので、腸の環境を整えてくれます。また、一暮らしの人でも購入しやすく、低カロリーで生活に取り入れやすい食材です。
電子レンジで温めてポン酢をかけるだけで簡単に美味しく食べることができます。
どれも日常生活に取り入れやすい食材です。日々の食事に加えてみてください。
ストレス社会の現代では、「過敏性腸症候群」は残念ながら明確な原因が不明で、予防の難しい病気かもしれません。
睡眠を十分にとり、規則正しい生活を心がけることが大切です。
また、食事の工夫や適度な運動も意識しながら、自分のカラダをいたわりストレスを溜めないようにしましょう。
薬剤師・大久保 愛