漢方ビュー通信

2人に1人が悩んでいる?知っておきたい「快便」対策

2人に1人が悩んでいる?知っておきたい「快便」対策

男性25.4%、女性43.7%が便秘で悩む

トイレでいきんでもなかなか便が出ない、出ても残便感がある、コロコロとしたウサギの糞のような便が出る…。
こんな「お通じ問題」に悩んでいる女性は少なくないのではないでしょうか。

2017年に発行されたガイドラインで、「本来排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されている便秘。厚生労働省の国民生活基礎調査では便秘の有病率を調べていて、2019年の調査によると、便秘を訴える人の割合は男性が25.4%、女性が43.7%。圧倒的に女性の方が便秘で悩んでいることがわかります。

では、なぜ女性のほうが便秘になりやすいのか。その理由は、いくつか考えられます。

意外と知らない?女性ホルモンの影響

例えば、便意があっても会社や旅行先などだとガマンしてしまいがちというのは、女性「あるある」でしょうし、便を押し出すときに必要な腹筋なども男性より女性のほうが弱いということも、便秘になりやすい理由として挙げられます。
また、食事の量を過度に制限したり、偏った食事を摂ったりするようなダイエットも、便秘の原因となるといわれています。
そしてもうひとつ、女性ならではの原因というのが、女性ホルモンの影響です。

女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。
このうち後者のプロゲステロンは、体内に水分を溜め込む作用があるため、排卵後から月経前の高温期や妊娠時には、便の水分が減少して便が硬くなり、便秘になりやすいのです。ちなみにこの時期にむくみやすいのも、プロゲステロンの働きによるものです。

菓子やパンの摂取量が多いほど便秘に

菓子やパンの摂取量が多いほど便秘に

大腸には「水分やミネラルを吸収する」と、「食べもののカスや腸内細菌の死骸などから便を形成する」という2つの役割があります。

便意は、便が腸内(結腸)にとどまっていた便が、直腸に送られることでも起こります。これを「排便反射」といいます。ところが、トイレをガマンする生活を送っていると、この排便反射が鈍くなり、直腸に便が送られても便意が起こりにくくなってしまうのです。
したがって、便秘を解消するには規則正しい生活を送り、決まった時間や便意を感じたら遠慮せずにトイレに行くということを習慣づけることが大事になります。腸の動きをしっかりさせるためにも、朝食抜きはやめたほうがいいかもしれません。

また、便の量を増やすことも大切で、そのためには便の材料となる食物繊維が含まれる食品を多く摂る、水分を適度に摂ることを心がけましょう。
食事に関しては、女性の便秘症患者約4000人に対して実施した横断調査では、「米や豆類の摂取が少ない人」や、「菓子やパンの摂取量が多い人」が便秘になりやすいことを明らかにしています。

それでも改善されないガンコな便秘には?

多くの女性を悩ませる便秘ですが、なかには病気が隠れている場合があるので、「たかが便秘」とは考えず、気になるようなら一度、医療機関で相談してみましょう。
ちなみに、便秘を起こす病気としては、大腸がんや痔核、甲状腺機能低下症、卵巣のう腫、糖尿病、腎臓病、脳卒中などがあります。また別の病気で服用している薬の副作用で便秘になることもあるので、その場合は主治医に相談しましょう。

こうした病気のない慢性的な便秘で、生活習慣や食生活の改善ではなかなか治らない場合、一時的に薬を使うことも考えられます。
慢性的な便秘の治療薬には膨張性下剤、浸透圧性下剤、刺激性下剤などがあり、漢方薬も使われています。漢方薬では便通の改善だけでなく、便秘に伴う腹部膨満感などの周辺症状を和らげることもできる場合があります。
緩下剤の市販薬はたくさん出ているので、自分に合ったものを使うためにも、薬局やドラッグストアでは薬剤師などに相談してみることが大事です。

まだ漢方薬を服用したことのない人へ
参考

厚生労働省「2019 年 国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/14.pdf

「慢性便秘症診療ガイドライン2017」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/2/109_254/_pdf/-char/ja

全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/201609270001.pdf

「胃腸の病気と漢方の本」

「消化器内科 vol.2 No.9」特集 慢性便秘の考え方

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Mar 11 2022

医療ライター・山内

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