しっかりケアしていても歯ぐきから出血、に潜むキケン
デンタルケアの意識は高まっているけれど…
2016年5月末に発表された「歯科医療に関する一般生活者意識調査」(日本歯科医師会)。
全国の10~70代の男女1万人対象のこの調査によると、1年以内に歯科検診を受けた人は全体の約半数にあたる49%。「かかりつけの歯科医がいる」と答えたのは67%で、5年前に比べて30、40代で増加していることがわかりました。
ドラッグストアなどに行くと、歯ブラシや歯磨き粉だけでなく、さまざまなデンタルケアグッズが売られている昨今。お口の健康についての意識の高まりは、年々、増しているようにも思えます。
ところが、なかにはデンタルケアをしっかりやっているにもかかわらず、歯ぐきから出血したり、赤く腫れていたり、歯肉炎や歯周病のような症状がでてしまう人も。
そういう人は要注意、もしかしたら「侵襲性歯周炎(若年性歯周炎)」かもしれません。
あなたは大丈夫?「歯周病チェックリスト」
侵襲性歯周炎について説明する前に、まずは自身のお口チェックから。
- 朝起きたとき、口の中がネバネバする
- ブラッシング時に出血する
- 口臭が気になる
- 歯肉がむずがゆい、痛い
- 歯肉が赤く腫れている(健康的な歯肉はピンク色で引き締まっている)
- かたい物が噛みにくい
- 歯が長くなったような気がする
- 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間がでてきた。食物が挟まる
これは日本臨床歯周病学会のホームページに載っているチェックリストで、6項目以上当てはまる人は歯周病が進行しているとのこと(3つ以上は歯科医師のもとで予防に努めたほうがいいそうです)。
さて、皆さんはいかがでしたか?
親が若い頃に歯周病になっていたら要注意
歯周病のリスクを高める要因は、デンタルケア不足、喫煙、加齢、ストレス、糖尿病、歯ぎしり、かかりつけの歯科医がいない、など。
ただ、こうしたリスクがなくても悪化してしまう歯周病が、「侵襲性歯周炎(若年性歯周炎)」です。
遺伝(歯周病になりやすい体質)が関係しているもので、両親が「若い頃(20~30代)に歯周病になっている」、「若いうちから義歯を使っている」といったことに心当たりがあれば要注意です。
これはセルフケアだけで何とかするのが難しいので、歯科医と連携して、しっかりと予防・治療することが大切になってきます。
心臓病や認知症など全身病とも密接な関係
ご存知の通り、歯周病は歯周病菌による感染症。歯周病をもたらす原因菌は多様で、わかっているだけで100種類あります。また、最近では、歯周病は糖尿病や心臓病、認知症など全身の病気と密接な関係があることもわかってきました。
定期的な歯科でのデンタルケア(スケーリングなど)と、正しいセルフケア。それから免疫力を高める食事や生活習慣で、70、80歳になっても健康な歯でおいしく食べものをいただきたいですね。
こちらも参考に!
日本歯科医師会「歯科医療に関する一般生活者意識調査」
https://www.jda.or.jp/pdf/DentalMedicalAwarenessSurvey_h28.pdf
日本臨床歯周病学会
http://www.jacp.net/perio/about/
医療ライター・山内