漢方ビュー通信

20代、30代なら知っておきたい「プレコンセプション」とは?

20代、30代なら知っておきたい「プレコンセプション」とは?

妊娠したいときに妊娠できるカラダを作る

仕事に、プライベートに、忙しい毎日を送っている20代、30代。「妊娠や出産なんて、まだ先のこと」と思っている人も多いでしょう。
しかし、女性の場合、妊娠できる能力は年齢を経るごとに落ちていきます。また、パートナーができた、結婚したなど、何らかのタイミングで急に妊娠、出産したいと思う時期がやってくるかもしれません。
「こんなはずじゃなかった」「もっと前にちゃんとしておけば」と後悔しないためにも、「プレコンセプションケア」という考え方を知っておくことは大事です。

国立成育医療研究センターによると、コンセプション(Conception)とは受胎(新しい命を授かること)を、プレはその前の時期を指します。つまり、プレコンセプションケア(Preconception care)というのは、〝将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと〟、簡単にいえば、〝妊娠したいと思ったときに、スムーズに妊娠し、子どもを産めるカラダをつくること〟になります。

産まれてくる子どもの健康のためにも重要なこと

この考えは、2012年にアメリカで提唱されたもので、現在では、英国国立臨床評価研究所(NICE)や世界保健機構(WHO)なども呼びかけを行っています。日本では2018年、国立成育医療センターがこの考え方を紹介し、支援しています。

女性が健康でいることは、産まれてくる子どものためにも重要だと考えられています。
例えば、妊娠高血圧や妊娠糖尿病などがあると、母親やお腹の中にいる子どもが死亡するリスクが高まりますし、そうしたことを防ぐために、出産まで入院して管理することが必要になったりします。母胎の状態が悪くなれば、出産予定日より前に人工早産(帝王切開)にするケースも出てきます。
こうしたことをできるだけ防ぐためには、妊娠する前のカラダ作りが必要になり、それは女性一人ひとりの心がけが大事になってくるというわけです。

産まれてくる子どもの健康のためにも重要なこと

自分の生理周期を知るために基礎体温をつけてみる

では、具体的にどんなことをプレコンセプションとして捉えればいいのでしょう。
具体的には、生活習慣の改善(禁煙、飲酒は控えめ、極端なダイエットはしないなど)や、定期的に運動をする、ストレスを溜めない…などが紹介されています。

さらに、生理周期や生理の問題を先送りしないことも大事です。
例えば、基礎体温を測って、生理との関係をみるのもひとつの手でしょう。基礎体温というとタイミング法で妊娠を試みるものというイメージがあるかもしれませんが、自分の生理周期や、生理周期で起こってくる不調を客観的に知るためには有用です。

生理のことなどの心配ごとは躊躇せず婦人科へ

このほかには、パートナーと性交渉をするときは必ずコンドームを付けること。これは避妊の目的だけではなく、性感染症を防ぐためにも必要です。性感染症は卵子や精子などが通る卵管などの癒着をもたらし、不妊の原因になることが知られています。

その上で、生理やパートナーとのことで心配ごとがあったら、あまり躊躇しないで、婦人科の医師に相談してみることも、プレコンセプションケアのひとつです。必要に応じて検査や治療(薬物治療など)をすることで、カラダの状態を悪化させず、いい状態に整えることができます。

生理のことなどの心配ごとは躊躇せず婦人科へ

繰り返しますが、〝子どもを産む・産まない〟はさまざまな状況で揺らぐもの。産みたいと思ったときに産めるカラダに備えておくことは、とても大事なことなのです。
最後に、国立成育医療研究センターでは「プレコンセプションケアチェック」を設けていますので、興味がある方は一度チェックしてみるとよいでしょう。

<プレコン・ チェックシート>

https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/pcc_check-list.html

参考

国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/

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ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

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Apr 22 2022

医療ライター・山内

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