漢方ビュー通信

ジワジワ効くだけじゃない?意外と知らない漢方薬の実力

ジワジワ効くだけじゃない?意外と知らない漢方薬の実力

風邪のひき始め、ゾクッときたら…

漢方薬というと、「体質を変えてくれるもの」「慢性的な不調に効くもの」「じんわり効いていくもの」といったイメージがあるかと思いますが、じつは急な症状や不調に効果を発揮するものも少なくありません。
今回はその一部を紹介します。

まずは、「葛根湯(かっこんとう)」。
風邪(急性上咽頭炎)といったら真っ先に思い浮かべる漢方薬のひとつかと思いますが、実際に風邪の対処法としてよく用いられていますし、市販薬の「風邪薬」としても売られています。葛根湯には頭痛や肩こりなどを和らげる作用もあることから、風邪のひき始めのゾクッときて、肩や首に何となく違和感があるというときに服用するとよいとされています。

このほか、風邪のひき始めには、「麻黄湯(まおうとう)」や「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」、「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」などが用いられることもあります。

イタタタ…足がつった、そんなときは?

暖かくなって、外での運動が心地よい季節になってきました。
今まであまりカラダを動かしてこなかった人が、いきなり運動をすると起こりやすいのが足のつり、いわゆる「こむら返り」です。

このこむら返りに有効とされているのが、「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」という漢方薬です。夜間に足がつる場合も、この漢方薬が用いられます。
芍薬甘草湯はその名の通り「芍薬」と「甘草」の2種類の生薬からできています。一般的には、含まれている生薬の数が少ないほど、急に生じる症状に効果があるとされていて、まさに芍薬甘草湯はその代表格といえるかもしれません。

食欲不振、疲労などにも漢方薬が役立つ

この時期は新しい年度が始まったばかりで、緊張の連続。週末になるとグッタリ…という人も多いでしょう。すると、食欲がわかない、疲れがとれない、力が入らないといったような“なんとなく不調”を訴える人が増加しがちです。そのような時に、回復の手助けになる漢方薬があります。
それが、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」です。
補中益気湯の「補中」には「消化機能を丈夫にする」という意味が、「益気」にはまさに「気を益す(増やす)」という意味があります。
風邪などを引いた後の体力回復や、これから暑くなってきて生じる夏バテに伴う諸症などにも役立つ漢方薬です。

急性期の不調に効果的な漢方薬はほかにも…

風邪やこむら返り以外にも、急に生じる病気や不調に有効な漢方薬はあります。
例えば、片頭痛には「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」という苦い漢方薬が有効との報告がありますし、二日酔いなど浮腫を伴う頭痛には「五苓散(ごれいさん)」が用いられます。
お腹を下したときにも、下痢止めとして先の五苓散や「柴苓湯(さいれいとう)」が使われています。

ここまで、急な症状や不調に効果を発揮する漢方薬の代表例を挙げてきましたが、漢方薬は症状や体質で用いる種類が異なる場合もありますし、先に挙げた病気でも場合によっては西洋薬のほうがよいこともあります。
いずれにせよ、自己判断で服用するようなことはせず、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

参考

「漢方と最新治療」28巻2号 特集 救急医療と漢方

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Apr 28 2022

医療ライター・山内

関連コンテンツ