カラダを“整える”、それが漢方の基本
“漢方の世界”に興味はあるけれども、何から手をつけたらいいのかよく分からない…という人も多いと思います。
ですが、漢方のベースとなる考え方は、カラダの不調が軽度のうちに、自分で改善する「セルフメディケーション」につながります。
そこで、今回は自分のカラダは自分で守ることの重要性が増している今、漢方の基礎を整体観念の側面から解説します。
漢方の柱となる「整体観念」という考え方
「整体観念」とは、この世界に存在するすべてのものは単独で存在していることはなく、全てが流動的であり、互いに影響しあっているとされる、漢方のモトなる中医学で柱となる考え方です。
私たちの体調はその土地や気候に影響されるので、自然環境との関係性にも目を向ける必要があると考えたり、頭痛など部位的な不調があったとしても、カラダ全体の機能の連携に問題が起きていないか、ということに注目したりします。
つまり、何かひとつだけを改善しようとするのではなく、全体を把握し、そのバランスの乱れを整えていくことで不調を改善するように働きかけていくのです。
その結果、よく耳にするのが、何かひとつの症状を改善しようと漢方薬を服用した際に、それに付随して思ってもいなかった部分の不調までもが改善されることもある、ということです。
例えば、漢方薬の「八味地黄丸(はちみじおうがん)」の効能効果をみてみると、『腰痛・かすみ目・むくみ・頻尿・耳鳴り』などがあります。西洋医学で考えると、ひとつの診療科では収まりきらない内容です。故に、腰痛の改善を目的として八味地黄丸を服用していたら、耳鳴りまでもが改善された、ということが起こりうるのです。
整体観念とホメオスタシスの関係
漢方の考え方では、整体観念をベースに、自然環境や人間関係、ホルモン、加齢などさまざまな変化の中でバランスを取っていることが分かりましたが、全ての変化にその都度惑わされていたとしたら問題です。
そこで、このさまざまな変化に大きく惑わされることなく、一定の状態に保つ力「ホメオスタシス(恒常性)」が、私たちのカラダには備わっています。
ホメオスタシスは、神経系・内分泌系・免疫系の3つの機能のバランスによって成り立っており、それぞれの調節に働いています。
仮に、ホメオスタシスのひとつである自律神経が乱れてしまうと、ホルモンバランスが乱れたり、免疫が低下したりと、連動して体調を崩すことへつながります。
ちょっとした変化に動じないカラダ作りを
人のカラダは、さまざまな変化に影響を受けやすいですが、漢方の考え方を用いることで、季節や環境の変化が起きる前のタイミングで対策をとることができ、何かしらの不調を予防できる場合があります。
また、病気を寄せ付けないようにするために、日頃からちょっとした変化にも動じないバランスのよいカラダを作っておくことも大切です。
その“動じないカラダ”に必要なのが、「気・血・水(き・けつ・すい)」です。
元気の源となる「気」、メンタルを支える「血」、カラダを潤す「水」が、それぞれ過不足なく存在し、きちんと巡っていることが、カラダ全体を丈夫にし、さまざまな変化に強くなることにつながります。
そのため、自律神経やホルモンバランス、免疫系に問題を生じる機会が多いとされる女性の不調と漢方の相性は良いとされています。
ちょうど季節の変わり目で過ごしやすくなってきたこの頃。
せっかくの春を体調不良で過ごすのはもったいないですよね。また、新年度の環境の変化でストレスを感じやすくなってしまうことも…。
そのような中で、病気までではないなと思う“なんとなく不調”が気になるときには、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談して、漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛