長時間のパソコン、スマホでツライ…「肩こり対処法」

パソコン業務を主に行う現代人の〝職業病〟
コロナ禍のリモートワークで、今まで以上に欠かせなくなったパソコン作業。自宅には会社にあるような立派なパソコンデスクやイスがないので、リビングやソファで仕事をしている人もいるかもしれません。
そうなると生じるのが、肩こりや首こりです。
肩こりとは、後頭部から首の付け根、さらには肩関節のあたりまでに生じる、鈍痛や不快感、筋肉が固まった状態のこと。厚生労働省が実施した「国民生活基礎調査(2019年 ※2020年は中止)の有訴者率をみると、男性では腰痛の次に多く、女性ではトップだったのが肩こりでした。
またコロナ禍の体調について調べた別のアンケートでは、「目の疲れ」や「疲れ・だるさ」とともに、「肩こり」が上位にきていました。現代人の〝職業病〟ともいえる肩こりは、コロナ禍でますますたいへんになっている状況が、ここから推察されます。
運動は組み合わせる。マウスはカラダとの距離に注意
こうした肩こり・首こりはセルフケアで何とかしたいもので、一般的に、こうした症状に対して有効とされているのが、運動です。
ストレッチやヨガといった柔軟性をもたらすものだけでなく、ウォーキングのような有酸素運動や、上半身の筋トレも効果があるとのこと。また、こうした運動は組み合わせることで、改善効果が高まることが期待されています。
パソコンに向かうときの姿勢も大事です。
姿勢といえば、もちろん背筋を伸ばして、猫背にならないことが大切ですが、意外と見逃しがちなのが〝カラダとマウス、キーボードの位置、距離〟で、これらがカラダに近くにあるほど肩こりのリスクが高まることがわかっています。

作業環境は厚労省「ガイドライン」を参照にして
厚生労働省はパソコン業務による健康問題を解消するために、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」を用意しています。
ここには、カラダに負担をかけないパソコン機器や机、イスのポイントなどが示されています。ほかにも、以下のような注意事項が紹介されています。
・「(仕事の)1サイクルを1時間以内にする」
・「各サイクルの間は10~15分の小休止をとる」
・「ディスプレイは目から40cm以上の距離、画面の上端は目の高さまでとする」
・「イスに深く正しく座り、足は足裏の全体が(床に)接するようにする」
リモートワークなどにより仕事を自宅でする場合、こうしたガイドラインを参考にして、作業環境を整えるといいかもしれません。
なかなか治らない肩こりには漢方薬がよいことも

こうしたセルフケアを続けても、慢性的な肩こりが解消しないという場合は、漢方薬を服用するというのも一案です。
肩こりといっても状態は一人ひとり違います。そのため、漢方では「気・血・水(き・けつ・すい)」など漢方独自のものさしを使って、処方を決めていきます。
実際、こりは血行不良で起こるため、漢方でいうところの血の異常で血行不良を示す「瘀血(おけつ)」があると考えられますが、そのほかに、生命エネルギーである気の異常である「気逆」「気うつ」などが生じていることがあり、こうしたことを加味しながら処方が決まります。
みなさんおなじみの「葛根湯(かっこんとう)」は肩こりに対して処方される漢方薬のひとつです。
コロナ禍を機に始まったリモートワークですが、今後も続くことが予想されています。つらい肩こり・首こりがあると仕事の効率も上がりません。困ったときは、一度、医師や薬剤師に相談するといいかもしれませんね。
参考
厚生労働省 国民生活基礎調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21.html
厚生労働省 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて
https://www.mhlw.go.jp/content/000539604.pdf
「整形・災害外科」整形外科疾患の運動療法―最近の進歩 Vol.64 No.4
「MD:明日を創る医療総合誌」漢方診察ファイル 2011.03
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内