夏を乗り切るために、睡眠の質を上げていきましょう!
夏の悩み事として、代表的なものに日焼けなどの肌トラブルや食欲低下などがありますが、何気に多いのが「睡眠」の悩み。
夏の夜は、暑苦しく汗でベトベトしたり、逆にエアコンで冷え過ぎてしまったりと調整が難しいと思います。また、自分に合った寝具やナイトウェアなどを見つけるのも至難の業。
さらに、暑苦しい日やゲリラ豪雨の日、比較的涼しい日など、日によって気候の違いも大きいため、睡眠のコンディションが変動してしまい、寝心地のよい環境をつくることが非常に困難な時期でもあります。
このように睡眠の質が低下した日が続くと、当然ながら日々の疲れは蓄積していきます。
ただでさえ、夏は紫外線やエアコンなどの影響で疲労感を感じやすい季節なので、睡眠の質を下げないような工夫が必要になります。
そこで、今回は薬剤師である筆者が、夏の睡眠について解説します。
睡眠の質を向上させるためにできること
人間のカラダは、深部体温(脳や臓器などカラダ内部の温度)が下がったときに、眠気を感じて眠りにつきます。なので、深部体温を下げようと、手足などの末端から熱を放出しようと働きます。
しかし、運動不足や血流が悪かったりすると、熱の放出がしづらく、なかなか体温が下がりにくくなります。また、入浴後に湯冷めをしてしまったり、うたた寝をしたりすることも、良質な睡眠にとってはNG習慣になってしまいます。
そこで、重要になってくるのが睡眠のメカニズムです。
入眠後およそ3時間以内に訪れるもっとも深い睡眠の「ノンレム睡眠」がありますが、じつはこの間に成長ホルモンの分泌が最も盛んになり、カラダの修復や疲れが取れやすいとされています。ですから、カラダのことを考えると、この入眠後すぐの睡眠の質を向上していく必要があることが分かります。
規則正しいライフサイクルを送ることは当然ですが、朝起きて日光を浴びたり食事のバランスを整えたりすることも、睡眠の質の向上につながるので、実践してみるとよいでしょう。
以前の漢方ビュー通信「寝ても疲れが取れない人に試して欲しいこと」で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
このように、NG習慣を避けたり、複数の条件が揃うことで良質な睡眠をとることができ、疲労回復に期待できるようになります。
その日一日、よい健康習慣を過ごすことができたかどうかの通信簿のようなものが睡眠です。
睡眠環境が悪くなりやすい夏は、睡眠の質が落ちやすい季節なので、寝る直前だけではなく、日中からできる対策を行っていきたいですね。
漢方薬で良質な睡眠をサポート
睡眠の質の低下には、さまざまな要因があります。
疲れをしっかりと取るためにも、そういった要因をなるべく排除したいものですが、人によってほてりが強く出たり、ストレスを多く感じたり、冷え過ぎたり、血流が悪くなったりと多岐にわたります。
そういった症状の改善に、漢方薬が役立つ場合がありますが、要因が多岐にわたる分、処方にもいくつかの選択肢があります。
例えば、のぼせ感や肩こり、疲れやすい、精神不安などがある人には「加味逍遙散(かみしょうようさん)」、神経のたかぶりやイライラなどがある人には「抑肝散(よくかんさん)」などが用いられることがあります。
また、その他にも、良質な睡眠へ導く手助けをしてくれる漢方薬は多々ありますので、自分に合ったものを服用できるように、夏の睡眠で悩んでいる人は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛