口の中のトラブルの原因と対処法
さまざまな侵襲でトラブルが起こりやすい
消化管の入り口で、硬い食べものや熱い飲みもの、刺激物など、さまざまな飲食物が通過していく「口」。口腔内はそうしたさまざまな飲食物による侵襲を和らげるために、粘膜に覆われ、常に唾液で潤っています。
それでも口内炎やヘルペス、咬傷(噛んでしまうこと)など、さまざまなトラブルが起こりやすいのが、口腔内です。では、どんなトラブルが起こりやすく、どう対処すればいいのでしょうか。
むし歯や歯周病以外の口腔トラブルの中身と、対処法について紹介していきます。
「食べられない、話せない」ことからメンタルに影響も
まずは口内炎から。
口内炎とは口腔内の組織に生じた炎症の総称をいい、さまざまな原因によって起こることが知られています。
具体的には、不十分な歯磨きやうがい、唾液分泌不足(ドライマウス)、合わない入れ歯、硬い食べものや熱い食べもの(飲みもの)の摂取、飲酒、脱水、栄養不良、発熱、ストレス、睡眠不足、栄養の偏りなど。このほかに、薬(抗がん剤、抗菌薬、利尿剤など)なども原因になります。
主な症状は、痛みや出血、食事がしみる、腫れ、口が動かしにくい、会話がしにくいなどで、食事を取りづらくするだけでなく、イライラや不眠など、メンタル面にも大きな悪影響を与えてしまうことも少なくありません。
口内炎と共に意外と多くみられるのが、咬傷、つまり口腔内を噛んでしまったことで生じる傷のことです。
歯の治療中や合わない義歯、クラウン(かぶせもの)を使っていると、くちびるの内側や頬の内側の粘膜を食べものと一緒に噛んでしまうことがあります。口内炎と同様、食事が取りにくくなるだけでなく、食べものを十分に噛めなくなるため、消化不良などの問題が起こることもあります。
口内炎や咬傷には口腔ケアとビタミンB群を
こうした口内炎や咬傷は、口腔内をきれいにする、ビタミンB群をとることで改善します。
合わない義歯やクラウンが原因の場合は、歯科医で直してもらいましょう。
口腔内のケアではブラッシングが大事です。粘膜を傷めないように柔らかいナイロン製の歯ブラシを用い、1日3回(食後30分以内)磨きます。その際、可能であればデンタルフロスを併用しましょう。歯磨き粉はフッ素入りが望ましいようです。
また低刺激の薬用の洗口液(うがい薬)も有用といわれています(歯みがき後や寝る前)。
ビタミンB群は粘膜の細胞の再生を助けるなどの働きをします。痛みが強いとなかなか口腔ケアもできないもの。そういうときは、市販されている塗り薬や貼り薬を用いて改善していくといいかもしれません。
漢方薬も使われていて、「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」や「黄連湯(おうれんとう)」、「茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)」には、口内炎を軽くする効果があるとされています。
「口唇ヘルペス」に気付いたら早めに医療機関を
このほかに、口の中にできる代表的なものが口唇ヘルペスでしょう。くちびるの周りに、水疱ができるのが特徴です。
ヘルペスウイルスは、一度感染するとカラダから排出されることなく、体内に棲息し続けます。そして、かぜや発熱、疲労、ストレス、紫外線、寒さ、胃腸のトラブル、女性ホルモンバランスの乱れなど免疫力の低下をきっかけに、再発しやすいとされています。
症状はまずくちびるの周辺にピリピリ感やチクチク感がでて、赤く腫れてきます。その数日後に小さな水ぶくれができますが、しばらくするとその部分にかさぶたができて治ります。ただ、治ったといってもウイルスは潜んでいますので、また再発します。
水ぶくれにはウイルスが潜んでいるので、極力触らず、破らないよう気をつけます。また、触ってしまった場合はすぐに手を洗いましょう。
病院では抗ウイルス薬の飲み薬や塗り薬で対応しますが、人にうつしてしまう可能性があるウイルスなので、異変に気付いたら早めに医療機関にかかるようにしましょう。
参考
「Gノート」7(4) 現場で知っトク!歯と口腔の基礎知識
「病気がみえる」口内炎
「漢方と最新治療」30(2)チーム医療と漢方
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内