夏に受けたダメージが、抜け毛・薄毛の原因に!?
夏の疲れを引きずる時期──。その疲れが残っていると感じている人ほど、抜け毛が増えているかもしれません。じつは、1年の中でも特に秋は抜け毛が増えやすいとされています。
抜け毛にはタイプがあるので、しっかりと見極めて対策を行う必要があります。
そこで今回は、薬剤師である筆者が、漢方医学の観点から、抜け毛や薄毛になりやすいタイプの人の見分け方、そしてその対策を紹介します。
秋に抜け毛が増える理由は夏の過ごし方が影響
では、なぜ秋に抜け毛が増えるのか?
それは、夏の間に受けた頭皮へのダメージが少し遅れた頃、つまり秋に表面化してくるからです。
夏は、紫外線による活性酸素の影響や高温多湿による頭皮の蒸れ、皮脂分泌の増加や雑菌の繁殖による頭皮への負担、夏バテによる不規則な食事、冷房による頭皮の乾燥や血行不良による新陳代謝の低下、熱帯夜で寝不足による成長ホルモンの分泌の減少など、頭皮がダメージを受ける要因が数多く存在します。
特に、頭皮に発生した活性酸素は、髪の毛をつくり出す毛母細胞の老化につながり、抜け毛や薄毛の原因になるとされています。
漢方の考え方からみる髪への影響とは
漢方には、不調の原因を探るためのものさしとして「気・血・水(き・けつ・すい)」という考え方があります。この要素が体内をうまく巡ることで、健康が維持されているとしますが、遺伝的な場合を除き、このものさしで、抜け毛や薄毛になりやすい人をタイプ分けすることができます。
血の不調=「血虚(けっきょ)」
偏食が続いたり、胃腸の不調で栄養状態が悪いと、栄養が頭皮に十分行き渡らない「血虚」という状態になります。脱毛以外にも、爪が割れやすくなったり、立ちくらみをしやすくなったり、目が疲れやすくなったりなどの症状が現れることがあります。
血の不調=「瘀血(おけつ)」
長時間同じ姿勢で仕事をしたり、運動不足になったりしていると血流が悪くなり、頭皮の新陳代謝が落ちている「瘀血」という状態になります。脱毛以外にも肩こりや頭痛、生理痛などを感じやすくなったり、顔がくすみやすくなったりする特徴があります。
その他にも、過労や夜更かしなどカラダの修復が追いつかないような生活スタイルは、老化を早めてしまい、髪への影響(抜け毛・薄毛・白髪などの症状)を悪化させる要因になってしまうので、夏に限らず注意が必要です。
1日でも早く、夏に受けたダメージの回復を
夏に受けてしまったダメージは、早急に軽減した方がよいでしょう。
そのまま放置していると、抜け毛や薄毛だけではなく、その他の不調も引き起こしてしまうかもしれません。
そこで、そのダメージを軽減する方法ですが、さまざまな方法が考えられます。
中には、サプリメントなどの健康食品に頼る人もいるかもしれませんが、じつは漢方薬が役立つ場合もあります。抜け毛や薄毛に直接効果があるわけではありませんが、体内の血流や自律神経に作用し、胃腸の不調などを整えることで、結果的に頭皮のケアにつながっていくからです。漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
夏の疲れを引きずり、外見や体調に異常を感じている人は、まずは夏に受けたダメージ回復に取り組むこと。規則正しい生活に加え、休息や睡眠、栄養をしっかりとりましょう。そして、そのサポート役として、適切な漢方薬を処方してもらい、1日でも早く夏の疲れとおさらばできるように励みましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛