漢方ビュー通信

秋をストレスフリーで過ごすために大事なこと

秋をストレスフリーで過ごすために大事なこと

日照時間が少しずつ短くなってくると、“ハッピーホルモン”といわれるセロトニンが減り、メンタルや睡眠の質が低下しやすくなるとされています。すると、私たちは神経過敏になり、いつもの自分とは違うような精神状態になることがあります。

こんなはずじゃなかったのに…と感じることもあれば、空回りして物事がうまく進まなくなったり、無駄に我慢してしまったりということがあるかもしれません。
ですが、秋はとても気候がよく、1年のうちでも非常に過ごしやすく気持ちのよい季節です。
せっかくなら、そんな秋を思いっきり楽しみたいですよね。

そこで今回は、薬剤師である筆者が、秋をのびのびとストレスフリーで楽しく過ごす方法を紹介します。

せっかくの秋に気持ちが落ちてしまう理由とは

秋は、1年の中でも雲が少なく晴れた日が増え、昼間の散歩やそよ風が心地よい季節です。
レジャーの秋、読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋など、過ごしやすい気候が後押しするおかげか、さまざまなことにチャレンジして新しいスキルを取得したり、楽しいことを経験するために時間を使ったりできるイメージもあります。

ところが、秋分の日(9月23日)を境に日照時間が徐々に短くなってきます。
その結果、太陽の光を浴びることによって増えるセロトニン(感情をコントロールするホルモン)が減少したり、ビタミンDの生成が不足したり、乾燥した空気や水分摂取の不足、昼夜の寒暖差などにより腸内環境や自律神経が乱れやすくなるなど、カラダやココロにさまざまな影響を及ぼしてしまう人も現れてきます。

そのため、過ごしやすい気候とは裏腹に、感情のコントロールがうまくできずに意味もなく悲しくなったり、涙が出たり、内向的になったり、ネガティブな思考になったりというココロの傾向に悩む人も増えてしまいます。
さて、あなたの秋は楽しい秋と後ろ向きな秋、どちらに傾いているでしょうか?

せっかくの秋に気持ちが落ちてしまう理由とは

平常心を保つために必要なセロトニン

セロトニンは、脳の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンのバランスを整える働きがあります。そして、自律神経を正常に働かせ、私たちが平常心を保てるようにしてくれます。つまり、セロトニンが不足していると“根性論”は通用しません。

このセロトニンの生成を促すためには、食事内容や腸の状態、日の光を浴びて体内のリズムを整えることなど気をつけるべき点がいくつかあります。
ところが、食欲が増している秋は、ついコッテリとした脂質の多いものや甘いものを多く摂ってしまいがちなので、腸への負担は否めません。また、日光を浴びる時間が気象的に減るので、意識的にセロトニンを増やす行動をとらなければ減ってしまう一方です。

この時期に気持ちが落ちてきたなと感じることがあったら、生活習慣の見直しをする合図と捉えて、セロトニンを増やす行動へ改めるように意識してみましょう。

秋のココロの不調は漢方薬を頼ってみては

「気(き)」の不調には漢方薬を

ココロの問題は、根性論が通用しないとお伝えしましたが、そんな時は漢方薬に頼ってみてもよいかもしれません。
漢方薬の中には、睡眠の質を上げたり、朝のやる気の低下を軽減したり、イライラや気分の落ち込みを緩和したり、過食を抑えたり、不安感を抑えたりとココロ(精神面)にアプローチできるものがあります。
例えば、「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」、「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」「加味帰脾湯(かみきひとう)」、「抑肝散(よくかんさん)」、「大柴胡湯(だいさいことう)」などがあります。個々の体質や状態によって処方が異なりますので、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

生活習慣の見直しと漢方薬の服用で、抱えているココロの問題が意外とあっさり改善できるケースも少なくありません。季節の移り変わりの時期は変調をきたすことが多いので、不調を感じた時には、一人で悩まずに漢方薬に頼ったり相談したりすることが、早期改善の一手になるかもしれません。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Sep 27 2022

薬剤師・大久保 愛

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