漢方ビュー通信

ひざ下の血管のミミズ腫れ、それって下肢静脈瘤かも?

ひざ下の血管のミミズ腫れ、それって下肢静脈瘤かも?

足の血管がコブのように膨れる症状

足もとを見たら、ふくらはぎやすねの血管がボコッと浮き出て、ミミズ腫れのようになっている――。
そんな状態を見て、ちょっとびっくりした人もいるかもしれません。

じつはこれ、「下肢静脈瘤」という良性疾患で、足の血管の病気になります。
「瘤」とは“コブ”のこと。下肢(足)の静脈には血液の逆流を防ぐために、たくさんの弁が付いています。この弁が何らかの理由で壊れて機能しなくなると、血液が心臓に戻りにくくなり、血液が下肢で滞ってしまいます。
その滞った血液が皮膚のすぐ下にある表在静脈に溜まって、コブのよう膨らんだ状態が、下肢静脈瘤です。

下肢静脈瘤は女性に多くみられ、妊娠中にできることもあるそう。美容師や調理師、看護師など、長時間にわたって立ち仕事をする人にもできやすいようです。

下肢静脈瘤は良性の病気なので、足のコブが何か問題を起こすことはありませんし、筋肉の下にある太い静脈には影響がないため、足の血流が滞ることもありません。
しかし、皮膚の近くにでき、凸凹しているのが見た目でわかるため、整容的な意味で気にする人が少なくないようです。
また、下肢静脈瘤は無症状ですが、足が疲れやすい、つりやすい、ほてる、かゆいといった症状が表れることもあり、それがつらいと感じる人もいます。

太った人、むくみやすい人は気づかない?

良性の病気だけど見た目を気にする人も

下肢静脈瘤の原因は、先に挙げた妊娠や立ち仕事のほかにもあります。
最大のリスクは加齢です。歳をとると血管に弾性がなくなってくるうえ、下肢の血流をサポートするふくらはぎの筋肉が弱くなります。その結果、血液のうっ滞が起こったり、血液の逆流が生じたりして、弁の機能が低下してしまうのです。

太った人やむくみやすい人もリスクになりますが、皮下脂肪でコブが見えにくいこともあって、気づかないまま過ごす人も少なくないといわれています。

予防はふくらはぎを動かすのが有用。場合によっては漢方も…

治療は、根治的なものとして、問題の静脈を切除する手術が主流です。日帰り、あるいは1泊の入院で行われ、健康保険が使えます。このほかにレーザー治療もありますが、こちらは自由診療で保険が使えません。

一方、予防(進行予防)法としては、下肢の血液の循環をサポートする弾性ストッキングの装着があります。今は医療用のものでもインターネットなどで販売しているので、簡単に手に入れることができます。ただ、締め付けすぎるとかえって血行不良などが起こるので、自分に合ったものを選び、正しい方法で装着するようにしましょう。
このほか太りすぎない、ガードルなどお腹をきつく締める服装は避ける、ふくらはぎの筋肉を適度に動かす、といったことも大事です。

原因不明の微熱には漢方がオススメ

漢方ではこの状態を「血(けつ)」が滞る「瘀血(おけつ)」ととらえ、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などを用いて治療をすることがあります。
ただし、漢方薬を服用する際は、個々の体質や状態によって処方が異なりますので、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

参考

日経メディカルオンライン 下肢静脈瘤の考え方と漢方処方
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/koui/201801/554332.html

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Oct 4 2022

医療ライター・山内

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