漢方ビュー通信

将来のために、今から「骨の健康」に気を使おう

将来のために、今から「骨の健康」に気を使おう

骨粗しょう症の患者は推計で1300万人も

加齢と共に衰えていく私たちのカラダ。そのなかでもその変化がわかりにくく、意識的に対策を取っていきたいのが、「」かもしれません。

骨の病気で代表的なものといえば、「骨粗しょう症」でしょう。
「骨量が減ったり、骨の構造が変化したりして、骨がもろくなった状態」をいい、閉経や加齢が原因で生じる「原発性骨粗しょう症」と、病気や薬が原因で生じる「続発性骨粗しょう症」があります。
多いのは前者のほうで、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」によると、患者数は推計で1300万人にものぼるそう。女性に多い病気です。

骨は成長期に作られ20代で最大値になる

骨粗しょう症の初期は痛みなど自覚症状がなく、進行すると背骨がつぶれて(圧迫骨折という)痛みが出たり、背中が丸まったりします。転倒による大腿骨骨折も骨粗しょう症の人の方が起こりやすく、寝たきりの原因になります。

でも、寝たきりなんてまだ先の話だし――。
そう思う人も多いでしょうが、将来、骨粗しょう症になる・ならないは、20~40代の過ごし方で決まるといっても過言ではありません。

なぜ若い頃の生活が大事なのか。次の項で詳しく解説します。

極端なダイエットや激しい運動はリスク

一般的に骨量は成長期にたくさん作られ、20代に「ピークボーンマス(骨量の最大値)」を迎えます。そして、この骨量は女性ホルモン(エストロゲン)の働きによって保たれますが、女性ホルモンが減る更年期を境に、いっきに減少します。

ピークボーンマスが高ければ高いほど、更年期以降に骨量がある程度減っても、骨の健康を維持することはできます。しかし、ピークボーンマスが低い場合は余裕がないため、当然ながら早い段階で骨の問題は起こってきます。
だからこそ、若いうちに骨の健康を考えた生活を送る必要があるのです。

ピークボーンマスが低くなる原因には、極端なダイエットや激しい運動(月経が止まったことがある)が挙げられます。これらを経験した人、あるいは、母親や祖母が骨粗しょう症を患っている人は、将来、骨粗しょう症が起こるリスクが高いので、今からしっかり対策をとったほうがいいでしょう。

自分の骨が心配、健康度(骨量)を知りたいという人は、「骨密度検査」受けることをおすすめします。定期健診の一環として行っている自治体もありますが、年齢が何歳以上と決められているケースがほとんどです。その場合、医療機関に問い合わせるとよいでしょう。

骨の健康は「食」と「運動」で維持できる

骨の健康は「食」と「運動」で維持できる

骨の健康を維持するためには、食事運動が欠かせません。
食事では、骨の材料となるカルシウムだけでなく、カルシウムが骨になるのをサポートするビタミンD、骨の成長に必要なたんぱく質を積極的にとることが大事です。

運動は、骨に刺激を与えて骨代謝を活性化させます。そのため、水泳や水中ウォーキングよりは、ウォーキングや階段の上り下りなど、骨を刺激する運動が望ましいです。かかとを上げ下げする運動もすすめられています。

残念ながら、漢方薬の中には骨の健康に直接働きかけるような処方はありませんが、例えば、転倒を予防するために下肢痛や腰痛に効果が期待できる「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」や食事面で食欲不振などをサポートする「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」などがあります。
その他にも、それぞれの体質やライフスタイルに合わせて、サポートを促す漢方薬は多くありますので、気になる人は一度お近くの漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。

参考

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン
http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Oct 18 2022

医療ライター・山内

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