漢方ビュー通信

むくみのタイプを知って、適した漢方薬を

むくみのタイプを知って、適した漢方薬を

朝起きたら手や顔が腫れていたり、夕方になるにつれて足首やふくらはぎがパンパンになってしまうような経験をしたことはありませんか?
このような症状を“むくみ”といいますが、原因は日常生活に隠れていることがほとんど。ところが、中には何かの病気が潜んでいることも…。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、今の時期に感じるむくみについて解説します。

むくみは深刻な病気が原因になっていることも!?

一般的なむくみは、同じ姿勢で過ごすことが多く、かつ運動量が少ないとき、塩分やアルコールを摂り過ぎたとき、血流が低下しているとき、月経前のようなホルモンの変化があるとき、寝不足、ストレスが多いときなどに関係しているとされています。

ですが、深刻な原因が考えられる場合もあります。
例えば、偏食による栄養失調、足の血管の病気である下肢静脈瘤、リンパの流れが滞ることで起きるリンパ浮腫、血液中のタンパクが減ることで起きるネフローゼ症候群、他にも肝硬変やリウマチ、膠原病、甲状腺疾患、腎機能の低下、心不全などの疾患が原因になることもあるようなので、ただのむくみだからといって油断は禁物です。

むくみのメカニズム

それでは、むくみのメカニズムについて簡単に解説します。

カラダの中にある水分の2/3は細胞内にあり、残りは細胞外の血液や、細胞と細胞の間に存在しています。水分の働きは、栄養を細胞に届けたり、逆に老廃物は除去したりと、細胞と血管の間を行ったり来たりしています。

ですが、体内の塩分濃度やアルコール濃度、ホルモンの状態、重力、血流など、何かしらのバランスが乱れてしまうと、細胞と細胞の間に異常に水分が溜まってしまいます。これがむくみです。

むくみ対策には原因別で漢方処方を

漢方薬

むくみ対策として、普段からできることは食事由来の塩分やアルコールの摂取過多に気を使うこと。ですが、アルコールと塩味の利いた食事との相性は、言わずもがなです。どうしても、たくさん摂取してしまったときは、多めに水分を摂るとともに、水分代謝を上げることに期待できる「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬が使われることもあります。

また、長時間の立ち仕事やデスクワーク、運動不足などで夕方になるにつれてむくみが強くなる人は、普段からしっかり湯船につかったり、マッサージやストレッチをするとともに、カラダを温めながら下半身の水分代謝を上げることが大切です。代表的な漢方薬は、「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」や「八味地黄丸(はちみじおうがん)」などです。

他にも、ぽちゃぽちゃした肉質で慢性的にむくんでいるような場合には、スクワットやカーフレイズなどの筋トレや運動をした方がよいでしょう。また、「防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)」という漢方薬が適応するかもしれないので、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみましょう。

このように、セルフケアと漢方薬を併用することで、効果的にむくみの改善を行うことができます。
女性にとってむくみは、本当に煩わしい存在ですが、その原因によってピンポイントで漢方処方を選ぶこともできます。
ただし、漢方薬を服用する際は、個々の体質や状態によって処方が異なりますので十分注意してください。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Oct 21 2022

薬剤師・大久保 愛

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