リラックス効果だけじゃない?健康とコーヒーの話
日本人の健康について調べた「JPHC Study」
私たちが平均寿命より前に死亡したり、生活の質を低下させたりする重要な要因となっているのが、“がん・心疾患・脳血管疾患”といった「三大疾病」。その引き金となるのが生活習慣病です。
その生活習慣病の発症には、食事や運動、タバコ、飲酒などの生活習慣が深く関わっていて、これらを適切に改善することで、病気の発症を未然に防げるというのは、多くの人が知っているところでしょう。
しかし、多くの生活習慣と病気の関連性をみたデータについては海外の報告が多く、日本人について調べたものは少ないとのこと。この問題を解決し、日本人の生活習慣と病気の関連を調べたのが、「JPHC Study」です。
正式には、「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」(研究代表者 津金昌一郎、澤田典絵 国立がん研究センターがん対策研究所)といい、全国11カ所の保健所と国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、大学、研究機関、医療機関などが共同研究しています。
2022年4月に発表された「血糖値とコーヒー」の関係
例えば、今年4月に発表されたのが、血糖値と非アルコール飲料との関係。
対象者は、岩手県や東京都、長野県、茨城県、高知県などに住む40~69歳の血糖値に問題のない男女およそ1万人。日ごろ飲んでいる飲み物(コーヒー、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ジュース、ソフトドリンク、水)で、空腹時血糖値の平均が異なるかを調査しました。
その結果、統計学的に関連性があることを認めたのはコーヒーでした。
男性では、コーヒーをまったく飲まない人より、1日120mL以上240mL未満飲む人、240mL以上飲む人は、空腹時血糖値がそれぞれ1.8mg/dL、1.9mg/dL低くなっていました。
女性もそれぞれ1.1mg/L、1.4mg/dL低いという結果になりました。
コーヒーを飲む方が、死亡リスクが低い?
このほかにもコーヒーの健康サポート効果はJPHC Studyでわかっています。
例えば、岩手県や長野県、沖縄県、東京都、長崎県、大阪府などに住む人のうち、がんや心疾患にかかっていない、40~69歳の男女約9万人について調査した研究があります。
ここでは、コーヒーをほとんど飲まない、1日1杯未満、毎日1~2杯、毎日3~4杯、毎日5杯以上飲むという5グループに分けて、がんや心疾患、脳卒中、呼吸器の病気による死亡との関連を分析しています。
すると、コーヒーをほとんど飲まない群を1とすると、残りのグループの危険度は、それぞれ1日1杯未満が0.91、1~2杯が0.85、3~4杯が0.76、5杯以上が0.85でした。飲む量が増えるほど危険度が下がる傾向があったのです。
なぜコーヒーがいいのか、そのわけは?
なぜコーヒーがいいのか。同研究ではこんな考察をしているので、紹介します。
「第1に、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が血糖値を改善し、血圧を調整する効果がある上に、抗炎症作用があるといわれています。第2に、コーヒーに含まれるカフェインが血管内皮の機能を改善する効果があるとされています。また、カフェインには気管支拡張作用があり、呼吸器機能の改善効果があるのではないかといわれています。これらの効果が、循環器疾患や呼吸器疾患死亡につながる危険因子の調整に寄与しているのかもしれません」
いつも何気なく飲んでいるコーヒーの見方が、少し変わるかもしれませんね。
参考
多目的コホート研究(JPHC Study)非アルコール飲料の摂取と血糖値の指標との関連について
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8934.html
多目的コホート研究(JPHC Study)コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3527.html
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https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内