漢方ビュー通信

月経周期に起こるメンタルの不調、PMDDを何とかしたい!

月経周期に起こるメンタルの不調、PMDDを何とかしたい!

重い月経前不快気分障害(PMDD)を抱える日本女性

女性ホルモンの揺らぎに大きく影響される女性。
イライラしたり、悲しくなったり、無性に甘いものが食べたくなったりといったココロの変化だけでなく、むくんだり、胸が張ったりといったカラダへの変化も起こります。
そんななかで注目されているのが、「月経前不快気分障害(PMDD)」です。

月経前不快気分障害は、月経周期に応じて現れるさまざまな不調のなかで、とくにメンタル系の症状が強く表れるときに診断されるもので、黄体期(排卵から次の月経までのおよそ2週間のこと)に現れて、月経が始まるとスーッとなくなるのが特徴です。

2006年に実施された疫学調査によると、日本の女性の約1.2%が日常生活に支障が出るほどの月経前不快気分障害(PMDD)であることがわかっています。

月経前不快気分障害(PMDD)の特徴的な症状は?

アメリカ精神科学会が出している「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」によると、PMDDで生じる症状には、以下のようなものがあります。

・著しい情緒不安定(例:突然悲しくなる、または涙もろくなる、または拒絶に対する敏感さの亢進)
・著しいいらだたしさ、怒り、易怒性、または対人関係の摩擦の増加
・著しい抑うつ気分、絶望感、自己批判的思考
・著しい不安、緊張、「緊張が高まっている」とか「いらだっている」という感情
(DSM-5の診断基準Bより)

このほかにも、日常の活動に対する興味の減退や集中困難の自覚、倦怠感・易疲労性、気力の著しい欠如、食欲の著明な変化・過食・または特定の食べ物への渇望、過眠または不眠などが挙げられています。
(DSM-5の診断基準Cより)

月経前不快気分障害(PMDD)の特徴的な症状は?

ライフスタイルの改善で症状が軽くなることも

PMDDは重い月経前症候群(PMS)とも考えられています。
PMSの発症時期は思春期から更年期までと、長く続きます。もちろん、その間に妊娠や出産といったイベントがあったり、自然と症状が軽快したりすることがあるかもしれません。
とはいえ、毎月、定期的にやってくる重いメンタルの不調と向き合いながら過ごすことはつらいもの。できれば改善していきたいところです。

では、PMDDの治療にはどんなものがあるのでしょうか。
メインはライフスタイルの改善と、薬によるものに分けられます。
ライフスタイルの改善では、規則正しい生活十分な睡眠適度な運動などを心がけます。
また、自分に生じる症状の種類やタイミング、重さなどを客観的に知って(記録などをつけて傾向を探ります)、不調が出やすい時期にはハードなスケジュールを組まないといった調整も図っていきます。

PMDDによる症状の改善には漢方薬が役立つ

漢方薬

薬の治療では経口避妊薬(ピル)の一部や、抗うつ薬(SSRI)などが使われていますが、漢方薬も有用とされています。
加味逍遙散(かみしょうようさん)」をはじめ、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」、「抑肝散(よくかんさん)」、「加味帰脾湯(かみきひとう)」などが用いられています。
気になる方は、一度、婦人科や漢方薬に詳しい医師に相談してみるといいかもしれません。

参考

『女性診療で使えるヌーベル漢方処方ノート : 西洋医学+漢方医学による診断・治療のすすめかた 改訂2版』(メディカ出版)

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Nov 25 2022

医療ライター・山内

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