やっかいな大人ニキビに漢方薬も!?
思春期だけじゃない、月経周期に合わせて出ることも
思春期のシンボルとして、そして最近は大人も…ニキビの話です。
専門的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」といい、毛穴にできた丘疹(皮膚が膨らんだ状態)を指します。女性では月経周期に合わせて出ることもあり、スキンケアやメイクに悩む人も少なくないでしょう。
ニキビは、まず皮膚の表面の角層が厚くなって毛穴の入り口を塞ぎ、そこに皮脂などが溜まって皮疹をつくります。皮脂の周辺ではアクネ菌(皮膚に存在する菌のひとつ)が増殖して、炎症を起こします。
そして最終的には炎症を起こした部分が化膿し、黄色くなっていきます。
ニキビが問題なのは、赤くポツッとした状態だけではなく、その後、膿がたまって膨らみ、それが消えた後に瘢痕(はんこん:ニキビ跡)が残ること。瘢痕は傷痕なのでなかなか治りません。それだけに瘢痕になる前に改善させることが重要です。
ガイドラインに沿ったニキビ治療が可能に
セルフケアで改善するものというイメージが強いニキビですが、皮膚科からはガイドライン(治療指針)が出ています(セルフケアも大事ですが、それは後述します)。
『尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017』によると、ニキビの治療では現在、レチノイドのニキビ治療薬と過酸化ベンゾイル(BPO)製剤を配合した塗り薬や、塗るタイプの抗菌薬などが推奨されています。
健康保険が適用となっているので、皮膚科を受診して診察を受け、ニキビと診断されれば、これらの薬を処方してもらえます。
ニキビは体質的な要因も大きく、再発することも少なくありません。
ですので、悪化させないように早めに見つけて早めに対策をとることが望まれます。
一般的なニキビ治療に用いられる漢方薬
ガイドライン2017には漢方治療についても触れられています。
漢方では「皮膚は内臓を写す鏡」という、皮膚の症状と体内の不調とは深く関わっていると考えのもと、治療(漢方薬の処方や養生)などを行っています。
西洋薬で認められているのは塗り薬ですが、漢方薬は飲み薬です。そのため、直接患部に効かせるものというよりも、カラダの内側から症状を改善させていきます。
先のガイドラインには、「清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)」や「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」などの漢方薬が「選択肢のひとつとして推奨する」と紹介されています。
先に挙げた塗り薬と併用するケースもあるようです。
ガイドラインが認めているスキンケア
ガイドラインではスキンケアについても触れています。
まず大切なのは洗顔。1日 2 回の洗顔が勧められています。使う洗顔料のタイプはとくに決まっておらず、オイルクレンジング(メイク落とし)でも悪化しないとのことです。
ただ、スクラブの有効性については確立されていません。
化粧水や乳液などは、低刺激で保湿性があるものが望まれます。専用のスキンケア製品も選択肢のひとつのようです。
一方、食べものに関してはニキビとの関連性が明確ではないので、“●●を食べてはいけない”といった制限はありません。むしろ偏った食事は避けて、バランスのよい食事を心がけることのほうが大切だとしています。
参考
『BEAUTY』Vol.3 No.4 美容皮膚科と漢方
日本皮膚科学会外ガイドライン『尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017』
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/acne_guideline2017.pdf
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic医療ライター・山内