漢方ビュー通信

肌のトラブルと腸の健康の関係性とは!?

肌のトラブルは腸の健康の関係性とは!?

誰でも経験したことのある便の悩み──。
硬くて出にくい便やコロコロした便、便器にくっつくようなベトリとした便、色が黒い便、ニオイがきつい便、下痢が続くなど…。こうした悩みで、すぐに解消するような胃腸の状態であればよいのですが、長期的に継続した場合、徐々に“不調”として可視化できるほど表面化してきます。

それらの不調の中には、例えば湿疹やかゆみ、乾燥などの肌トラブルの症状として私たちを困らせることも。まさか、このような肌で起きているトラブルの原因が、胃腸の不調に関係しているとは思いもよらないでしょう。

そこで今回は薬剤師である筆者が、便秘と肌トラブルの関係について解説します。

便秘と肌荒れの関係

胃腸の悩みで比較的多いとされる便秘ですが、便が腸の中に長期的に溜まってしまうと、腸内では悪玉菌が増加します。
すると、その悪玉菌によってアンモニアやインドールなどの有害物質が発生します。それらは腸から吸収され、血液を通じて全身を巡り、肌に影響を与えます。そして、ニキビや赤み、かゆみなどができやすくなってしまいます。
同時に、血流も悪くなるので、肌のターンオーバーも乱れ、乾燥やくすみなども発症することがあります。

肌トラブルは腸活と漢方薬でコントロール

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先に挙げた、ニキビや赤み、かゆみなどの炎症に対しての治療としては、炎症を抑えるステロイド外用剤などを用いることが多いです。ただし、それは一時的なケアになるだけで、根本的な解決にはつながりません。

また、それに加えて、漢方薬でサポートすることも多いようです。
胃腸に負担がかかったとき、便のニオイがきついのに加えて肌の炎症が収まらないとき、便がなかなか出にくく、且つ乾燥肌が進んでいるときなどの症状に対して、漢方薬で対策をとれることもあるからです。
じつは、漢方薬の中には、便通の状態を整えていくことに期待ができるものがあります。例えば、大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)や桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)、麻子仁丸(ましにんがん)など、個々の状態や体質に応じて処方されるさまざまな漢方薬がありますので、自分の症状に合った漢方薬を専門の医師や薬剤師に選んでもらうとよいでしょう。

そして、慢性的な肌トラブルで悩んでいる場合、並行して「腸活」を試してみてもよいでしょう。
例えば、食物繊維や発酵食品を意識的に食べること、脂質・糖質・タンパク質の摂取過多に気を付けること、他にも腸揉みや腹筋、入浴、腹巻きなど日常で実践できることはたくさんあります。

腸活のすすめ

腸活のすすめ

「腸」について、もう少し詳しく触れておきましょう。

腸は“第二の脳”とも呼ばれており、脳からの指令がなくても独自に機能することができる臓器といわれています。また、腸内のセロトニンなどの神経伝達物質の状態は、脳にも影響を及ぼすほど、腸と脳の関係性は密接であるとされています。
さらに、免疫機能の70%は腸に集まっているとされ、腸内細菌の多様性やそのバランスなどが私たちの免疫に大きく影響しています。

このように、ココロとカラダの健康のためには、腸の健康がいかに大切であることが分かると思います。だから、腸の健康を促進する「腸活」が有効といえるのです。

腸の状態は、肌の状態以外にも、脳や免疫機能など全身に影響を及ぼします。
もし肌にトラブルを感じたら、カラダの内側に原因が潜んでいるかもしれません。表面的なケアだけでなく、ココロとカラダの健康のためにも腸活を実践して、根本から改善していくことをおすすめします。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

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https://www.kampo-view.com/clinic
Dec 9 2022

薬剤師・大久保 愛

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