漢方ビュー通信

健康リスクを回避するために睡眠をしっかりと!

健康リスクを回避するために睡眠をしっかりと!

仕事や家事、育児などで忙しい現代人は、睡眠時間を削って無茶をしてしまう人が多い傾向にあります。
しかし、そういった生活を送っていると、逆に効率が下がって無駄に時間がかかったり、休憩が余計に必要になってしまったりして、結局のところ微妙な結果になっていることも…

やはり睡眠は、忙しい時ほどしっかり確保した方が賢明です。また、寝不足が蓄積すると「睡眠負債」の状態になり、さまざまな健康リスクも高まります。

そこで今回は薬剤師である筆者が、睡眠の役割や重要性を再確認するために解説します。

睡眠負債によるさまざまな不調

休日に、“寝だめ”をしている人は多いと思います。もちろん、ゆっくり休める時は休んだ方がよいのですが、平日と休日の睡眠時間を比べて2時間以上の差があるようなら注意が必要です。
なぜなら、それは普段の睡眠時間が足りておらず、「睡眠負債」が生じていることが考えられるからです。

睡眠負債は1日、2日で解消できるものではなく、日ごろの生活リズムから変化させないと改善していきません。改善するには、長期間を要します。
この睡眠負債による不調とは、疲労感や免疫機能の低下、肥満、糖尿・高血圧などの生活習慣病、甲状腺・副腎からのホルモン分泌の乱れ、脳のパフォーマンス低下によるミスの増加、情緒不安定、認知能力の低下などが考えられます。

理想として毎日7〜8時間の睡眠時間がとれるように、生活リズムやスケジュールを調整するように努力していきましょう。

昼寝の時間は20分程度で

睡眠の質も大事な要素のひとつです。

私たちは、眠りにつくとノンレム睡眠が1時間程度続き、その後レム睡眠が始まります。これが1サイクルとなり合計90分程度、これを1回の睡眠で4〜6回繰り返すことになります。特に1回目のサイクルがカラダの修復にとって重要な役割を持っているとされているので、入眠後すぐの睡眠の質を高めることが重要です。漢方ビュー通信「理想的な睡眠をとるために実践したいこと」でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

ちなみに、20分程度の昼寝はノンレム睡眠になるため、眠気の解消が見込めます。
しかし、30分以上の昼寝になると、深いノンレム睡眠の状態になるため、カラダがしっかりとした睡眠を求めてしまい、逆に疲労感を感じてしまうことがあるので注意しましょう。

快眠サポートに漢方薬という選択肢も

睡眠は、カラダ全体のメンテナンスを行う時間になるので、その時間がとれていないとカラダの老朽化が加速していきます。睡眠時間の管理とともに、眠れる環境を整えていくことも大事です。
まずは、快適な睡眠に必要な「暗く、静かで、湿度と温度が快適」、この3つの条件が揃う環境を整えてみましょう。
そして、寝る2時間前の入浴、朝起きた時に日光浴をすることでも効果を感じることができるでしょう。

漢方薬

それでも眠れないときには、漢方薬を試してみるのもおすすめです。
加味逍遙散(かみしょうようさん)」や「抑肝散(よくかんさん)」などの処方が代表的ですが、個々の体質や状態によって処方が異なりますので、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。

大事なことは、睡眠時間を確保できるようにスケジューリングすること、そして睡眠の質を高めていくことです。急には難しいことですが、毎日少しずつ改善できるようにしていきましょうね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Jan 6 2023

薬剤師・大久保 愛

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