漢方ビュー通信

有病率15%、国民病「花粉症」の2023年の傾向は?

有病率15%、国民病「花粉症」の2023年の傾向は?

花粉の飛散量は前年の夏の天気で決まる

毎年、春が近づくにつれ憂うつな気分になる人も多いのではないでしょうか。そう、花粉症の季節がやってくるからです。有病率15%であり、国民の6.6人に1人がかかっている花粉症。もはや代表的な国民病です。

花粉症の原因のひとつであるスギ花粉の飛散量は、前年の夏の気象条件が大きく影響するといわれています。気温が高くて、日照時間が長い。また雨の少ないときのほうが、花芽が多く形成されて、翌年の花粉の飛散量が多くなることがわかっています。
振り返ってみると、2022年の夏は猛暑日が多く(なんと都心の猛暑日数は歴代最多!)、平均気温をみても、かなり高くなった地域が少なくありませんでした。
一方で、降水量は全般的に多かったようです。

やばいかも!今年の花粉飛散は「昨年の2倍」

日本気象協会は、前述した2022年の夏の気象条件から、2023年のスギ花粉の飛散量を予測。
「6月に『高温・多照・少雨』となり、スギの花芽形成に好条件となった」、「2021~2022年に花粉飛散量が少なかった地域が多く、スギの木に花芽を形成させるエネルギーが蓄えられている」としています。

その結果、「九州では例年並み」、「四国と中国、近畿、北陸ではやや多くなる」、「東海では多くなる」、「関東甲信と東北では非常に多い」といった見込み。「北海道は例年よりやや少ない」と発表しています(2022年12月20日時点)。
非常に多く飛ぶというのは、例年、あるいは前年に比べて「2倍飛ぶ」ということ。これはかなり注意をしなければならないかも!です。

 

花粉の飛び始めは例年並み。1月末から対策を

ちなみに、スギ花粉の飛び始める時期は、「九州から東北まで例年並み」とのこと。具体的にいうと、2月上旬から九州や四国、中国、関東の一部で飛び始めるということです。
これは、2023年の1~2月の平均気温は西日本と東日本で平年並みか低く、北日本ではほぼ平年並みとされているためで、この時期らしい寒さにより〝休眠打破(植物の種や芽、球根などが寒さの刺激を受けて、活動状態になること)〟が順調に行われるためなのです。
とはいえ、それ以前もわずかながら花粉が飛んでいるといいます。
花粉症に例年、困っている人は1月の中~下旬になったら対策を講じ始めたほうがいいかもしれません。

漢方薬では小青竜湯。早めに飲み始めるのが大切

漢方薬

花粉症に関しては、昨今、さまざまな治療法が登場し、選択肢も増えています。
そのなかのひとつに漢方薬があります。

漢方の考え方では、花粉症の人には「水毒(体内の水分バランスの異常)」があるとされています。そこで、水分の偏在を解消し、水分バランスを整える「利水剤」を用います。必要なところに水分が少なく、特定のある部分(花粉症であれば鼻水や涙目、鼻づまり=鼻粘膜のむくみなど)にたくさん溜まっている状態を解消して、症状をとっていきます。
代表的な利水剤は「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」です。飲み始めてから実感するまで少し時間がかかりますので、医師や薬局の薬剤師に相談するときは、少し早めのほうがいいかもしれません。

<参照>

日本気象協会 tenki.jp
https://tenki.jp/pollen/expectation/

厚生労働省 はじめに ~花粉症の疫学と治療そしてセルフケア~
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/ookubo.html

気象庁 夏(6~8月)の天候
https://www.jma.go.jp/jma/press/2209/01b/tenko220608.html

漢方ビュー 悩み別漢方(アレルギー性鼻炎・花粉症)
https://www.kampo-view.com/trouble/kafun

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Jan 20 2023

医療ライター・山内

関連コンテンツ