漢方ビュー通信

男性よりも女性に多い、甲状腺の病気とは?

寝ても疲れがとれない…疲れるようなことをしていないのにだるい…など、“なんとなく不調”を感じるときには、カラダのどこかに異常をきたしている場合があります。
その可能性として、甲状腺や肝臓、腎臓、心臓などに問題が起きているか、血糖値や貧血数値の異常、睡眠障害やガンなどの疾患などが考えられます。

そこで今回は、この中でも男性よりも女性のほうが圧倒的に多いといわれている、「甲状腺」の病気をピックアップして解説します。

甲状腺はカラダのさまざまな機能の調整役

甲状腺は、喉仏(のどぼとけ)の下に位置していて、蝶のような形をした臓器です。
20g程度と、とても小さな臓器なのですが、カラダのさまざまな機能を調整する重要な働きを担っています。代表的な働きとして、甲状腺ホルモンを分泌し、新陳代謝を活発にすることが挙げられます。

甲状腺ホルモンは、多すぎたり少なすぎたりしないようバランスが保たれていますが、異常があるとさまざまな症状が起こります。
不足した場合、太りやすくなったり、眠気を感じやすくなったり、冷えやすくなったり、便秘ぎみになったりします。これは新陳代謝が低下している状態で、甲状腺機能低下症といい、代表的な病気に「橋本病」があり、更年期以降の世代に多いようです。
逆に多すぎる場合は、痩せやすくなったり、汗っかきになったり、脈が速くなったり、怒りっぽくなったり、下痢気味になることがあります。これは、新陳代謝が過剰になっている状態で、甲状腺機能亢進(こうしん)症といい、代表的な病気に「バセドウ病」があり、20~30代の女性に多いようです。

また、このような甲状腺の病気は、月経周期の異常や不妊、流産の原因になることもあるので、女性は特に注意したい病気のひとつです。

食事バランスも甲状腺ホルモンに影響している

じつは、鉄や亜鉛、セレンなどのミネラルは甲状腺ホルモンの代謝に関わっています。
そのため、鉄欠乏がある人には、甲状線ホルモンの低下が起こる可能性があります。無理なダイエットやマクロビ食(穀物や野菜など日本の伝統食をベースとした食事)、ファスティング、極端な糖質制限など、偏った食事が原因となっている場合があります。

外見の美しさももちろん大事ですが、病気を引き起こしてしまっては元も子もありません。なんとなく不調を感じている時は、まずは“健康”を優先して、バランスのよい食事休息をとるようにしましょう。

漢方薬と食材で甲状腺をサポート

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甲状腺機能が異常をきたしている時には、腸の働きも低下しています。
そのため、膨満感や便秘などを起こすことで腸内環境が乱れ、ミネラル類の吸収が低下してしまいます。その結果、しっかり食べているはずなのに、ミネラル(鉄、亜鉛、セレンなど)の吸収が低下し、甲状線機能の悪化につながってしまうことも考えられます。

そこで、漢方薬や食材で甲状腺をサポートすることをおすすめします。

例えば、消化を促しミネラルの吸収を促す梅干しやレモンなどの酸味のある食材の摂取に加えて、消化の働きを整える「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」、「六君子湯(りっくんしとう)」などの漢方薬で補うのもよいでしょう。
また、腸の働きを促す野菜やキノコ類、にがりなどに加えて、腸の働きを整える「大建中湯(だいけんちゅうとう)」、「真武湯(しんぶとう)」、「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」といった漢方薬もあります。
そのほかに、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」や「加味帰脾湯(かみきひとう)」などの漢方薬でカラダの土台作りを補って、甲状線機能にまつわる不調の緩和につなげていくのもよいでしょう。

バランスのよい食事を心がけ、なんとなく不調を感じるようなら漢方薬でサポートするのがベター。
上記の漢方薬はあくまでも例で、個々の体質や症状で処方が異なりますので、専門の医師や薬剤師に相談して、自分に合った漢方薬を処方してもらうと安心です。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Mar 31 2023

薬剤師・大久保 愛

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