漢方ビュー通信

腸内細菌が作る栄養素を知っていますか?

腸内細菌が作る栄養素を知っていますか?

近年、腸内細菌に関する研究が非常に盛んで、免疫やメンタル、皮膚などの健康と関係があるということをさまざまな媒体で目にすることが増えていると思います。
そして、この腸内細菌は、元気に生活する上で欠かすことのできないビタミン短鎖脂肪酸などの栄養素も作り出してくれています。そのため、腸内環境が乱れている時には、いつのまにか必要な栄養素の合成が少なくなっていることがあります。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、腸内細菌の働きについて解説します。

腸内細菌が産生する栄養素

腸内細菌が作る栄養素を知っていますか?

さっそく、腸内環境で作り出される栄養素について紹介します。

ビタミン

ビタミンの中でも、元気に過ごす上で欠かせないのは「ビタミンB群」です。
じつは、腸内には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12などのビタミンB群やビタミンKを産生する能力をもつ腸内細菌が存在します。

短鎖脂肪酸

腸内では、野菜やキノコ、海藻などに含まれる水溶性食物繊維やオリゴ糖を腸内細菌が発酵し、短鎖脂肪酸を作っています。
短鎖脂肪酸には、酪酸、酢酸、プロピオン酸などがあります。

ちなみに、短鎖脂肪酸は、腸内を弱酸性に保ち、善玉菌が過ごしやすい環境にしたり、大腸の蠕動運動を促したり、血糖値の上昇を抑えたり、腸のバリア機能を高めたり、ミネラルの吸収を助ける働きがあります。 さらに、腸管から吸収されることで、全身のエネルギー源として働き、脳の活性化や代謝の向上、肥満の抑制にもつながるとされています。

腸内細菌をよい環境で保つことが大切

“栄養”といえば、食事など外から摂り入れることに注目しがちですが、カラダの中の腸内細菌が作り出すシステムも忘れてはいけません。
食事の内容には日々気をつけている、サプリメントなどで足りない栄養素を補っている、という人でも、体調が思わしくないと感じた時には、お腹の張りや残便感、便の質などに注意してみることをおすすめします。
また、代謝にも腸内細菌が関わっており、腸内環境が乱れている場合には想定しているほど有効成分が吸収されないということがあります。

漢方の考え方

漢方医学には、“人間は自然界の一部であり、周囲とバランスをとり健全な状態を保つことが大切”という思想(考え方)があります。
人間のカラダは、腸内細菌をはじめとしたさまざまな微生物と共存しています。自分のカラダを整えたいと考えるときには、腸内細菌もよい環境で健全な状態を保てているのかどうかにも注目し、食事や運動、睡眠のリズムなどの日常生活にも気をつけていきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Apr 11 2023

薬剤師・大久保 愛

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