漢方ビュー通信

おりものは、女性の健康におけるバロメーター

“おりもの”とは、専門用語で「帯下(たいげ)」といい、腟や子宮からの分泌物が腟外に流れ出してくるものの総称になります。
その分泌は、生理的な理由で増える時と、病的な理由で増える時とがあります。
生理周期のタイミングや感染症、炎症を起こしていたりすると、色やニオイ、量、粘性などに違いが生じることがありますが、他人と比較できるものではないので、一度は不安を感じたこともあるのではないでしょうか。

そこで今回は薬剤師である筆者が、女性にとって体調のバロメーターである「おりもの」についてふれてみます。

正常なおりものの状態とは

膣には、腸や肌のように常在菌が存在していますが、おりものの適度な湿度と酸性環境があることで善玉菌が働き、雑菌が繁殖しないように守ってくれています。また、妊娠しやすい環境を作ったりする働きもあります。

さて、一般的なおりものは、半透明から白で卵白のような粘性があり、乾くとクリーム色で無臭か少し酸っぱいニオイがあるのが正常です。
生理から1週間後くらいの排卵期に量が増え、透明でニオイが強くない、ゼリー状のよく伸びるおりものが分泌されます。その際、中間出血として少し茶色いおりものになる場合があります。
その後、その量は減っていき、白っぽく粘性の高いものへと変化していきます。
生理直前になるにつれて強いニオイを感じることもあり、生理が始まると、さらっとした状態になります。
20〜30代では量が多いですが、40〜50代になると少しずつ減少する傾向があります。

異常がある場合のおりものについて

次に、風邪やストレス、疲労などで免疫や卵巣機能が低下した時のおりものについて解説します。

膣には自浄作用がありますが、免疫が低下していると細菌が侵入し、細菌性膣炎を引き起こすことがあります。その時のおりものの色は、黄色が強くなる傾向があります。
また、カラダが芯から冷えていたり、胃腸が弱っているような時には、水っぽいおりものが出る傾向があります。

病気(カンジダ膣炎、クラミジア頸管炎、トリコモナス膣炎など)を患っている時のおりものについても紹介します。
カンジダ膣炎は、かゆみがあり、白くカッテージチーズのようなポソポソしたおりものが出ます。抗生剤の服用が原因になることもあるようです。自然に治ることもありますが、何度も繰り返すことがあります。
クラミジア頸管炎は、発熱や下腹部痛などを伴い、黄色や膿状のおりものが出ることがあります。
トリコモナス膣炎は、悪臭と強いかゆみがあり、黄色や黄緑色のおりもので、泡のようなおりものが混じることがあります。

症状によっては、自然に治るものもあれば、そうでないものもあります。いずれにしても、異常を感じたら、早めに医師の診断を受けると安心でしょう。

おりものは体調のバロメーター

原因不明の微熱には漢方がオススメ

漢方医学では、体調を診断するときに分泌物の状態をチェックすることがあります。例えば、鼻水や痰、舌の苔の状態、便、それらに加えておりものがあります。

特に女性にとっておりものは、体調のバロメーターとなるので、状態を把握しておくことは大切なことです。そのため、いつもと違うニオイや量、かゆみ、色など何か異変を感じたときには、前述したように、医療機関を受診するようにしましょう。子宮頸管炎、子宮頸管ポリープ、子宮頸がん、子宮体がんなどさまざまな病気が潜んでいる場合もあります。

また、病気ではなくストレスや疲労、冷えなどが伴う人には漢方薬も役立ちます。例えば、冷えてむくみやすい場合には「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「八味地黄丸(はちみじおうがん)」、ストレスがたたっているときには「加味逍遙散(かみしょうようさん)」などがあります。

おりものは、女性特有のカラダからのサインです。セルフチェックとして、おりものの「におい」「かゆみ」「色」「状態」を確認するように心がけましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Apr 14 2023

薬剤師・大久保 愛

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