漢方ビュー通信

HPVワクチンと検診で「子宮頸がん」を正しく予防し、カラダと未来を守ろう

HPVワクチンと検診で「子宮頸がん」を正しく予防し、カラダと未来を守ろう

罹患者は1万人、3000人が命を落としている

子宮の入り口にできる子宮頸(けい)がん
国立がん研究センターのがん情報センターによると、2019年に子宮頸がんが確認された人は1万人強、3,000人弱の方が亡くなっています。また2000年以後、患者数も死亡率も増加しています。

がんというと比較的、年齢の高い人がかかるイメージがありますが、頸がんは30~40代という、比較的若い世代の女性に多いのが特徴。
2022年8月に亡くなったバンドTHE UNCROWNEDのボーカルSHALさんも子宮頸がんを患っており、闘病の日々をTwitterで綴っていました。記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。
彼女のほかにも、多くのタレントや女優、アーティストが子宮頸がんであることを自ら公表しています。

5年生存率は95%、早期なら子宮温存も

子宮頸がんは早期発見が可能ながんで、がん検診の項目にも含まれています。
会社などの組織で実施されている健康診断のほか、各市区町村が行っている住民検診があります(対象者は20歳以上・隔年受診)。自治体の検診は公費負担なので、一部の自己負担だけで検査が受けることができます。

もうひとつ、子宮頸がんは早期治療によって〝治せるがん〟とも言えます。
地域がん登録によるがん生存率データよると、前がん病変(異形成)、あるいは早期がんで発見して治療した場合の5年生存率は95%と、多くの人が完治しています。
将来、子どもを産むことを望む人に対しては、早期なら子宮を温存する治療も可能です。
ただ、子宮を残す場合、再発のリスクは子宮を残さない場合よりどうしても高くなるので、主治医や家族とよく相談したうえで決めることが大切です。

子宮頸がんは原因が明らかながんのひとつ

そして、何より大事なのは「かからないこと」、つまり予防です。
昨今、さまざまながんについて研究が進められていて、「原因」が明らかになっているがんがいくつか存在します。そのひとつが子宮頸がんです。

子宮頸がんの多くは、HPV(Human Papillomavirus:ヒトパピローマウイルス)の感染が関連しています。HPVには現在わかっているだけで200種のタイプがあり、そのうちの15種類が頸がんの発生に関わっていることが明らかになっています。
ちなみに、このHPV発見したドイツのウイルス学者はノーベル医学生理学賞を授与されています。それほどこのウイルスの発見は重要なものであったということです。
もちろん、感染以外でも子宮頸がんにかかることはありますが、罹患のリスクを大きく下げるHPV感染への対策はとても重要になります。それがHPV感染を予防するワクチンです。

4月から「9価ワクチン」も予防接種の対象に

世界では2006年から始まっている若い女性へのHPVワクチン接種。WHO(世界保健機関)も推奨している予防法で、現在は約110カ国で予防接種が行われています。

日本でも2009年から始まっていて、対象者は「小学校6年生から高校1年生にあたる年齢の女子」で、公費で接種することができます。また、2013年6月から約9年間、副反応問題のため接種勧奨を差し控えていたことから、そのキャッチアップとして2005年度生まれまでの女性でも、3年間の間に公費で受けられます。
さらに、これまでは2価ワクチンと4価ワクチンだけでしたが、今年4月からは、子宮頸がんの予防効果よりが高いとされる、9価HPVワクチン(※)も対象になりました。

このHPVワクチンは感染予防効果なので、HPVに感染した後だと効果は認められませんが、いずれにしても、女性の健康のためには、HPVワクチンと子宮頸がんの定期検診は欠かせないといえるでしょう。 予防接種で守るのは、自分のカラダと未来です。詳しくは自治体やかかりつけの産婦人科医にお問い合わせをするといいでしょう。

※9種類のタイプのウイルスへの感染を防ぐためのワクチンで、子宮頸がんの原因のおよそ約80〜90%防ぎ、2価・4価のワクチンより感染予防効果は高いとされている

参照

厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000901220.pdf

がん情報サービス 子宮頸がん
https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/prevention_screening.html

日本産科婦人科学会
https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4

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医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Apr 19 2023

医療ライター・山内

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