前歯に口紅がつく、口が臭い…それってもしかして?
飲みものなしでクッキーが食べられない!
最近よく前歯に口紅がつく、唇が乾いてリップクリームが手放せない、クッキーは飲みものなしでは食べられない、口臭が気になる…。
こんな症状に心当たりのある人は、もしかすると、“ドライマウス”かもしれません。
ドライマウスとは、その名の通り口の中(口腔内)が乾燥した状態。上記の症状のほか、口の中がいつもネバネバする、喉が渇いてペットボトルが手放せない、会話をすると声がかすれてくる、舌が痛むといった症状などもあるそう。
ちなみに、「クッキーを食べると……」という症状は、クッキーに限らず、煎餅やクラッカーなど乾きものを食べるときも同様。海外では“クラッカーサイン”といって、ドライマウスの指標として知られているようです。
口を潤す唾液の量はなんと1日1.5リットル
ドライマウスは「唾液」の分泌が減ることで起こりますが、この「唾液」、じつはとても重要な役割を持っています。
主なものとしては、ご飯やパンなどのデンプンを糖に変える消化作用、むし歯や歯周病を予防する作用、ウイルスや細菌などに対する抗菌作用など。私たちが話したり、ものを食べたりするときだけでなく、消化や免疫の要の一つとして、存在しているんですね。
ちなみに、唾液は主に耳の下あたりにある耳下腺、下あごにある顎下腺(がくかせん)、舌の下にある舌下腺から分泌され、その量は1日で1.5リットルにもなるとのこと。
では、ドライマウスはなぜ起こるのか、その原因を見ていきましょう。
ドライマウスでフェイスラインが垂れる?
ドライマウスをもたらす原因は、主に「病気」「加齢」「ストレス」「筋力低下」「薬(放射線治療)の副作用」の5つ。
病気では、糖尿病や脳卒中のマヒ、自己免疫疾患のシェーグレン症候群などが挙げられます。薬やがんの放射線治療の副作用の場合も含め、自分では改善できないものですので、医療機関の受診やかかりつけ医への相談が必要です。
加齢も、唾液を分泌する耳下腺などの機能の低下、噛む筋力の低下などで起こります。
一方、セルフケアが可能なのは、筋力低下やストレスによるドライマウス。
筋力低下は、噛む筋肉の低下で唾液が出にくくなるのが原因。筋力の低下は表情筋にも影響し、口角やフェイスラインが徐々に垂れたり、口元が乾燥してシワが増えたりする要因にもなるので、ここはしっかりケアをしておきましょう。
ストレスは、交感神経が優位になって唾液の分泌が減少することが要因。ストレスマネジメントをしっかりすることが、予防につながります。
ドライマウスを改善するセルフケアと治療
ドライマウスを改善するためには、噛む筋力をアップさせることが大事。
「口はできるだけ閉じる(鼻呼吸をする)」「歯ごたえのある食べものを積極的にとり、よく噛む」「人とおしゃべりをする」といったことが役立ちます。
それでも「口が渇いてつらい」という人は、人工唾液などによる対症療法や漢方薬を用いた治療もあるので、一度、医療機関を受診してもいいかもしれません。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
<ドライマウス研究会>
http://drymouth-society.jp/
医療ライター・山内