漢方ビュー通信

舌のセルフチェックを習慣化して、毎日の健康管理に!

漢方医学では、カラダの状態を把握するときに“舌の状態”をみて判断することがあります。
現代のように血液検査やCT、MRIなどの画像診断技術がなかった頃は、このように人間の五感をフル活用してカラダの状態を把握していました。ちなみに、舌に注目してカラダの状態をみる手法は、数千年前から行われてきたそうです。
そして、多くの人の舌のデータ蓄積が時代を超えて、今もなお人の健康管理に役立っているのです。

そこで今回は薬剤師である筆者が、自宅でも簡単にできる舌のセルフチェック、「舌診(ぜっしん)」について解説します。

舌をみるときのポイントは?

まずは、健康な状態の舌について理解しておきましょう。
健康な舌の色はピンク色で、舌の淵にギザギザとした歯形やむくみがなく、白い舌苔(ぜったい)がうっすらとついている状態です。
また、舌を裏返したときに静脈が2本見えますが、黒ずみが浮き出たりしていない状態が良好です。

したがって、舌をみるときのポイントは、舌自体の色や質感、大きさや形、亀裂の状態、舌苔の厚さや部位、舌苔の色、舌の動き、舌の裏の静脈の太さなどになります。
最初は慣れないかもしれませんが、次の項で具体的なセルフチェック法を解説します。

舌の状態で分かるカラダの不調

舌の状態をみる時は、舌磨きをしていない状態であること、そしてカレーやコーヒー、赤ワイン、みかんなど舌に色が付くような食事をしていない時に行いましょう。
他人と比べることが難しい部位なので、昨日の自分の舌の状態と比較してみるといいでしょう。

舌の状態は、食事の内容や寝不足、運動不足など自分の行動の結果を短期間で反映してくれる部分です。いつもの舌の状態を把握しておくことで、自分の行動と舌の状態をリンクさせて、どんな行動の変化が舌の状態に影響しているのかを確認することができます。
その結果として、良い習慣を続け、悪い習慣を減らしていくことができて、日々の健康管理になります。

それでは、具体的にチェック項目をみていきましょう。

舌の色

白…白っぽいときには疲れやすい、貧血気味。冷えやすいことなどが考えられます。
赤…カラダに熱がこもっていたり、炎症が起こっていたりすることが考えられます。
紫…熱がこもっているか、逆にすごく冷えているか、血流が低下していることが考えられます。

舌の形

むくんでいる…疲れやすい、水分代謝の低下が考えられます。
薄っぺらい…疲れやすい、貧血気味、潤いが足りていないことなどが考えられます。
亀裂が目立つ…貧血気味、潤いが不足していることが考えられます。
舌の淵に歯形がついている…疲れやすい、水分代謝の低下が考えらえます。

舌の苔

水っぽい…水分代謝の低下が考えられます。
乾燥している…カラダに熱がこもっていたり、乾燥していることが考えられます。
舌苔が一部剥げている…消化器系統に負担がかかっていたり、疲れやすかったり、潤いが不足していることが考えられます。
苔が分厚い…消化不良や代謝の低下などが考えられます。
苔が黄色い…カラダに熱がこもっていたり、アレルギー症状や不摂生などが考えられます。

舌裏の静脈

太さ3ミリ以上…血流が悪いことが考えられます。

 
健康管理の基本は、現状を知ることです。それを把握した上で、それぞれに合った方法で対処していくことが大切です。舌のチェックにおいても、毎日、自分の舌の状態を記録して、まずはセルフケアを効率よく行っていくようにしましょう。そのうえで、なかなか改善されない場合は、漢方に詳しい医師に診てもらったほうがいいでしょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
May 30 2023

薬剤師・大久保 愛

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