漢方ビュー通信

人に相談しにくい尿トラブル…漢方薬でサポートも!

人に相談しにくい尿トラブル…漢方薬でサポートも!

最近、夜中にトイレで起きるようになった、日中のトイレの回数が増えた、外出時のトイレが気になるようになったなど、“尿”にまつわるお悩みを抱えていませんか。
このような尿のトラブルは、他人や医療機関に相談するのは躊躇してしまう症状ですよね。中には、年齢のせいだと自己解決してしまう人も…。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、膀胱の働きと尿トラブルについて解説します。

膀胱の働きについて

まずは、膀胱の働きについて理解しましょう。
膀胱の働きは、腎臓から流れてくる尿を一時的に溜めておき、溜まったら外に出すことです。
具体的には、膀胱の壁の筋肉が緩みながら尿を溜め、ある一定の量になると膀胱の筋肉が収縮して排尿を促します。

膀胱は袋状の器官で、内側から粘膜、排尿筋、漿膜(しょうまく)という3層で構築されています。その出口の部分には、内尿道括約筋とより出口に近い外尿道括約筋があり、膀胱を巾着のように締めています。
排尿筋と内尿道括約筋は、自律神経に支配されているため、自分の意志ではどうにもなりませんが、外尿道括約筋は体制神経に支配されているため、尿意を感じた時に自分の意志で排尿を止めることができます。
また、膀胱には500ml程度(成人の場合)の容量を溜めることができるとされていますが、個人差がとても大きく、実際には200〜1,000mlぐらいまでさまざまで、正常値を定めることが難しいほどです。

気温や体内の水分量による影響も受けるため、季節によって排尿量も変化します。
水分摂取と尿の関係には、溜めておける尿量の個人差も大きく、季節や自律神経、筋肉の状態なども関わっていることがわかります。

尿トラブル対策は一人で悩まないで

具体的な尿トラブルとしては、頻尿(尿の回数が多い)、夜間頻尿や、急に我慢できないような強い尿意を感じる尿意切迫感、不随意に尿が漏れる尿失禁などの「蓄尿症状」や尿の勢いが弱い、排尿が1回以上途切れる、排尿準備ができてから排尿するまでに時間のかかるといった「排尿症状」があります。
これらの原因は、加齢や肥満、前立腺肥大、骨盤底の脆弱化、神経疾患などさまざまです。

さて、中でも特に多い悩みが頻尿夜間頻尿です。
日頃から行える対処法としては、利尿作用がある飲み物(コーヒーやビール、お茶など)を控える、ストレスを溜めないようにする、骨盤底筋を鍛える(女性の場合)、外出時はトイレの場所を事前に確認する癖をつけることなどが挙げられます。

漢方薬

また、それらの対処法と同時に、漢方薬でのサポートもおすすめです。
例えば、「八味地黄丸(はちみじおうがん)」や「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」、「猪苓湯(ちょれいとう)」、「清心蓮子飲(せいしんれんしいん)」、「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」などが尿の悩みに用いられます。
少しでも尿トラブルを軽減したい、不快感を改善したいと感じている人は、一人で悩まずに、生活習慣の見直しとともに、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するなどして対策してみてはいかがでしょうか。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Jun 16 2023

薬剤師・大久保 愛

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