漢方ビュー通信

寝ているときにイタタタ…「足のつり」対処法

寝ているときにイタタタ…「足のつり」対処法

こむら返りの“こむら”は、「ふくらはぎ」の意

夜、寝ているときに足を伸ばそうとしたら、いきなり足がつった…。こんな経験をしたことがありませんか。
足がつるのは、筋肉がけいれん(異常な収縮)したためで、痛みを伴うものの数分で治まるのが一般的です。

足がつることを別名で「こむら返り」といいますが、これは主にふくらはぎにある腓腹筋(ひふくきん)で起こるため、こむら(=ふくらはぎ)という名前がついたのだそう。ただ、実際はふくらはぎに限らず、足の裏や指など、さまざまな場所で起こります。
ちなみに、医学用語ではこむら返りは「有痛性強直性筋痙攣」といいます。

足がつる、原因については諸説ある

では、なぜ「足がつる」のでしょうか。
調べてみると、じつにいろいろなメカニズムが紹介されていました。
いくつか挙げてみましょう。

筋肉は筋繊維が集まってできていますが、大きく「収縮しすぎないようにする役目を持つもの(腱紡錘:けんぼうすい)」と、「弛緩しすぎないようにする役目を持つもの(筋紡錘:きんぼうすい)」に分かれています。
このうちの腱紡錘の働きが何らかの理由で低下すると、収縮が起こっても抑制がかからず、こむら返りが起こるということです

ほかにも、緊張している筋肉をいっきに伸ばそうとすると、運動神経から筋肉への伝達が遅れて、筋肉がけいれんするという説や、脳からの司令に関係なく運動神経の末端が興奮して、筋肉が収縮するといった説などもありました。

寝ているときに足がつる理由とは?

いずれにしても、筋肉の疲労や老廃物の蓄積、血行不良があると、こむら返りを起こしやすく、また筋肉の収縮に必要なマグネシウムやカルシウム、ナトリウム、カリウムといったミネラル不足も原因に挙がっています。

寝ているときに足がつるのは、就寝中にかなりの量の汗をかいて、水分不足、ミネラル不足に陥っているためだといわれます。
運動中に足がつるのも、カラダを動かすことによる脱水が問題。
他に、高齢者や妊娠中の女性、糖尿病や肝臓病などの基礎疾患のある人も足がつりやすいことがわかっています。

足のつりには漢方薬「芍薬甘草湯」が有用

漢方薬

こうしたこむら返りには、漢方薬の「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が有効だとしてよく用いられています。
芍薬甘草湯は漢方の原典『傷寒論(しょうかんろん)』にも載っている漢方薬です。芍薬と甘草の2つの生薬から構成されていて、こむら返りになぜ効くのか、けいれんした筋肉をゆるませる作用機序まで、最近の研究によって解明されています。
ただし、構成生薬の甘草にはある種の副作用などの可能性もあるので、服用に関しては医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Jul 7 2023

医療ライター・山内

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