朝の〇〇が肥満やうつを防ぐ!朝食をしっかり摂ったほうがいい理由
20代の3人に1人が「朝食抜き」の大問題
朝、できれば5分でも長く寝ていたい――。
そう思う人は少なくないでしょう。しかし、朝食を摂る時間を削ってまで寝るというのは、健康面からしたらちょっと問題かもしれません。
その理由を述べる前に、まずは日本人の食事回数について見てみましょう。
日本公庫が毎年2回実施している「消費者動向調査」(2019年7月)によると、1日3食摂るという人が全体の約72%と、もっとも多かった一方で、20代の3人に1人が朝食を摂らないと回答しました。
また、朝食に何を摂るかという問いでは、全体では米が多く約53%、次がパンで約31%でした。意外なことに、20代が米を食べている割合は他の世代よりも高い傾向にあり、61%に上りました。
朝食を摂ると「昼食の血糖値が上がりにくい」
朝食を抜くと、脳のエネルギーが枯渇します。その結果、日中イライラしたり、集中力が出なかったりして、仕事の効率が上がらなくなります。記憶力の低下などにもつながります。
また、朝食抜きは、生活習慣病にも関わってくることもわかっています。
たとえば、1日2食と3食を比べると、1日の摂取カロリーが一緒だとしても血糖値の上昇の仕方が前者のほうが大きいことがわかっています。
これは「セカンドミール効果」と呼ばれる、1度目の食事が2度目の血糖値の上昇を抑える〝しくみ〟で、1982 年にトロント大のジェンキンス博士が発表しています。
ただし、これは朝食に食物繊維が豊富な食事を摂った場合であり、「コーヒーだけ」とか「野菜ジュースだけ」では、このセカンドミール効果は期待できないようです。
朝食抜きでうつ病のリスクが高まる研究結果も
血糖値の上昇は、肥満やそのほかの生活習慣病の原因となります。
実際、アメリカで実施された研究では、朝食を摂っている人は摂らない人より、糖尿病の発症が4割抑えられ、また、肥満にもなりにくいことが報告されています。
さらには、生活習慣病だけでなく、朝食抜きはメンタルリスクを高めるとのこと。
たとえば、うつ病との関係でみると、朝食抜きはうつ病を発症するリスクを高めることが、国内で行われた調査で明らかになっています。かつ、このことはインドの調査でも同様の結果が得られています。
また、自律神経の問題も引き起こすと考えられています。「朝日を浴びたり、朝食を摂ったりすることでリセットされる体内時計が、朝食を摂らないことで乱れるため」というのが、その理由です。
「朝、同じ時間に起きて朝食」習慣を始めよう
江戸時代の本草学者・儒学者の貝原益軒が記した『養生訓』では、「夕食は朝食よりも少なめにする」とあり、朝食をしっかり摂ることの大切さを説いています。
理想は栄養バランスを考えた一汁三菜ですが、朝食でそこまで用意するのは難しいです。
ですので、電子レンジのチンですむ作り置き惣菜やレトルト、冷凍食品、あるいは缶詰など手軽なものを活用するのがお勧め。できれば、食物繊維の豊富な全粒穀物と、野菜(が入った)スープ・みそ汁は用意したいところです。
また、毎朝同じ時間に起きて規則正しい生活を送ることも大切。
自身の体調管理のために、「朝食を抜かない習慣」を始めてみてはいかがでしょうか。
参照
日本公庫消費者動向調査
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_191007a.pdf
農林水産省 朝ご飯を食べないと?
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kakou/mezamasi/about/about.html
一枚の図からはじめるEBN 佐々木敏がズバリ読む栄養データ
『栄養と料理』Vol.83 No.5
『こころに効く精神栄養学』(功刀浩著・女子栄養大学出版部)
健康長寿ネット 養生訓
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/yojokun.html
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