漢方ビュー通信

漢方の原料生薬でもある「果物(くだもの)」で健康力UP!

漢方の原料生薬でもある「果物(くだもの)」で健康力UP!

漢方薬の材料にもなっている「果物」

漢方薬※を構成する原料である生薬のなかには、果物(くだもの)を使ったものも少なくありません。
例えば、枳実(きじつ)はダイダイ、大棗(たいそう)はナツメですし、果実ではありませんが、陳皮(ちんぴ)はミカンの皮、杏仁(きょうにん)はアンズの種です。
※漢方薬とは、漢方医学の考え方にもとづき、基本的には2種類以上の生薬を定められた量で組み合わせた薬のことです。

このように、果物は漢方薬の材料になるくらい、健康効果が高い食べものといえますが、実際、私たちは日ごろどれくらい果物を食べているのでしょう。
豊洲市場ドットコムを運営する株式会社食文化が実施した調査によると、「フルーツを食べる頻度」は、「毎日」が18.2%にとどまり、「2~3日に1回」が23.1%、「週に1回」が16.6%、「2週間に1回」が10.0%、「月に1回」が(11.4%)、「フルーツは食べない」が7.1%という結果でした。

美肌や便秘予防だけじゃなく死亡リスクも下げる

果物はビタミンやミネラル、食物繊維、抗酸化物質などが豊富な食べもので、さまざまな健康効果が知られています。
実際、肥満を防止し、糖尿病や高血圧といった生活習慣病のリスクを下げる効果も期待されています。お通じをスムーズにして美肌をもたらす効果もわかっていますし、女性であれば、更年期以降に心配になる骨粗しょう症予防にもいい影響をもたらします。
さらに、近年では死亡リスクとの関連もわかっています。

国立研究開発法人国立がん研究センターのがん対策研究所予防関連プロジェクトの多目的コホート研究(JPHC Study)では、野菜と果物の摂取量と死亡リスクとの関連を調査。
その結果、野菜や果物の摂取量が少ないグループに比べて、果物の摂取量が多いグループでは全死亡リスクが約8~9%、そして心臓血管死亡リスクが約9%も低くなっていました。

「健康日本21」では1日200グラム摂取を推奨

では、どれくらいの量を摂ればいいのでしょうか。
わが国の健康施策である「健康日本21(第二次)」では、「日本人の平均摂取量は増加していない。日本人における果物摂取量の増加は、食生活改善の重要な課題のひとつ」とし、2024年度から始まる第三次では「1日200グラムの摂取」を新たな目標にしました。

2020年に更新したWHO(世界保健機関)のファクトシート「健康的な食事(栄養不良、ならびに糖尿病、心疾患、脳卒中およびがんなどの非感染性疾患を予防するのに役立つ食事)」では、1日あたり400グラムの野菜(デンプン質の根菜は除く)と果物の摂取を推奨しています。このうち、果物だけだと250グラム摂るといいそうです。

果物を「楽しく、おいしく食べて」健康に!

果物を「楽しく、おいしく食べて」健康に!

ちなみに、果物200グラムというのは、ミカンなら2個、リンゴなら1個、バナナなら2本、キウイフルーツなら2個になります。
いくら健康に良いからといって、1日3食のなかでこれだけの果物を摂るのは、やはり大変かもしれません。そんなときは、こんな工夫はいかがでしょう。

たとえば、好きな果物をいくつか選んでスムージーにすれば、おいしくたくさん食べられます。今の時期であれば、コンビニやスーパーでよく見かける冷凍の果物をおやつ代わりに食べるという方法も。アイスなどに比べたらヘルシーなので、一石二鳥です(ちなみに、冷凍なので保存期間が長いというのもメリットです)。
このほかにも、サラダに入れる、フルーツサンドにするなど、いろいろ考えられそうです。

「摂らなきゃいけない」ではなく、「楽しく、おいしく摂る」で健康になりたいものですね。

参照

株式会社食文化 「フルーツを食べる習慣」に関する調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000242.000006293.html

毎日くだもの200グラム!
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_02.html

『AGRICULTURAL BIOTECHNOLOGY』Vol.7 No.4

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Sep 15 2023

医療ライター・山内

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