漢方ビュー通信

夜中に目が覚める…もしかしたら夜間低血糖かも!?

夜中に目が覚める…もしかしたら夜間低血糖かも!?

夜中の2時3時にふと目が覚めることはないでしょうか?

それにはさまざまな原因が考えられます。例えば、夜中にトイレに起きてしまう夜間頻尿や暑かったり寒かったりといった寝室環境、不安や悩みからくるメンタル不調によるものだったりと、不眠症や睡眠障害の類である可能性もあります。
ところが、その他の理由として、日頃の“糖質の摂り方”が睡眠に影響を与えることも分かってきました。それが、「夜間低血糖」です。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、夜中に目を覚ましてしまう夜間低血糖について解説します。

夜中に目が覚めるのはホルモンの影響?

日中は、食事によって血糖値が低下しないようにコントロールされています。
ですが、絶食時間が長くなる夜中には、自分のホルモンによって血糖値が下がらないように維持しなければなりません。

睡眠時の血糖維持に使われるホルモンは、成長ホルモンコルチゾールです。
成長ホルモンは、入眠してすぐのノンレム睡眠時に分泌量が多くなることで知られています。そのため睡眠の質が悪い時には、その分泌は不十分となります。また、コルチゾールはストレスに対抗して分泌されるホルモンとして知られています。これらのホルモン分泌が、日中のストレスや食事の摂り方などによって乱れてしまうと、夜中に低血糖になってしまうことがあります。

寝ている間に低血糖状態になってしまうと、血糖値を上げようとアドレナリンやコルチゾールが一気に分泌され、睡眠時でも交感神経が優位になり目を覚ましてしまいます。さらに、目を覚ます以外の症状として、睡眠時に寝汗や歯ぎしり、悪夢、カラダの緊張やこわばりなどの不調を感じてしまうことがあります。
また、起きているときにも、朝から頭痛や肩こりがあったり、だるさを感じたり、感情のコントロールができなくなったり、夕方になると集中力の低下を感じたり、寝る前に何か食べないと落ち着かないといった煩わしい不調を感じることがあります。
ちなみに、夜間低血糖は、糖尿病とは診断されていない人にも起こる問題だといわれています。

睡眠の質を向上するためにできること

このように、睡眠の質を上げるには、日中の過ごし方(行動やメンタル)が大きく影響していることが分かります。
寝起きに太陽の光を浴びる、睡眠に必要な栄養素であるタンパク質を多めに摂る、血流を促すために、水分補給や適度な運動をする、入浴の習慣づけなども、質のよい睡眠をとるための行動として効果的です。
また、メンタル面では、漢方薬を活用して、感情の起伏を抑え、極力ストレスを感じないようにコントロールすることもおすすめです。

「気(き)」の不調には漢方薬を

そのような時、処方される漢方薬には、「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」や「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」、「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」、「加味帰脾湯(かみきひとう)」などがあります。個々の体質や体調によって処方される漢方薬が異なりますので、専門の医師や薬剤師に相談して、自分に合った処方をしてもらうと安心です。

睡眠の質が悪くて、夜中に何度も起きてしまうという人は、睡眠の質を向上するため、そしてカラダ全体を整えるという意味でも、日頃できることから改善していく行動をしていきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Sep 21 2023

薬剤師・大久保 愛

関連コンテンツ