老化を促し老けやすくなる乾燥肌──、若々しくいるためにできること
空気が乾燥してくると気になるのが、ほうれい線や目じりのシワ、ちりめんジワ(皮膚の浅い層にできるシワ)などではないでしょうか。
特に、若い頃にはなかった小ジワは、年齢を重ねるとともに本数が増えていきます。そして、保湿対策などをしっかりしていないと、どんどん深く強固なものとなってしまいます。
そのため、秋冬の乾燥肌対策は、若々しくいるために、夏の紫外線対策と同じくらい重要なものなのです。
そこで、今回は薬剤師である筆者が、乾燥が始まるこの時期から有用な乾燥肌対策について解説します。
空気の乾燥がもたらす肌トラブルの原因とは
空気の乾燥で気になるパーツの上位にあるのが、目元・口元です。
目の周りや口の周りをはじめ、頬、首などはもともと皮脂腺が少ないので皮脂分泌に期待ができません。そのため、比較的乾燥しやすい部分といえるでしょう。
また、年齢に伴って、皮脂分泌や水分を保持する機能なども低下するので、年々肌トラブルを感じやすくなってしまいます。
肌の最も外側の角層には皮脂膜があり、バリア機能として働いています。
ですが、秋冬の乾燥した空気の中だと、皮膚から徐々に水分が奪われていくため、皮脂と水分のバランスが崩れやすくなり、皮脂膜が薄くなってしまいます。
その結果、角層のバリア機能が弱くなり、カサカサしたり、ひび割れをしたり、かゆみを感じたりするなどの肌トラブルを引き起こす原因になってしまうのです。
細胞レベルで考える老化防止対策
私たちのカラダの細胞数はおよそ37兆個あるとされていますが、肌トラブルが起きた時、その細胞のどれかにダメージが生じていると考えられます。つまり、若々しい肌を維持するためには、細胞一つひとつが元気でいることが必要なのです。
カラダの細胞は、日々細胞分裂をしています。その中で、細胞に大きなダメージが加わったときは、「細胞老化」といわれる仕組みが働き、自ら壊れるアポトーシス(細胞死)をおこすか、免疫細胞に除去されるかして体内から消えていきます。
ですが、なぜかそのまま消えずにカラダに残って、溜まっていくものもあります。この細胞のことを老化細胞、または“ゾンビ細胞”(※)と呼ぶこともあります。
※…米国の科学ジャーナリストが、英科学誌の『ネイチャー』のコラムで、分裂をしないが死にもしない奇妙なこの老化細胞を「ゾンビ細胞」と解説
老化細胞は、炎症や加齢性の病気の原因となるSASP(細胞老化随伴分泌現象)関連因子を分泌し、周囲の細胞の老化を加速させ、組織や臓器の機能を低下させます。これは白内障やアルツハイマー病、がん、糖尿病、変形性膝関節症などの原因となるといわれています。
この老化細胞を除去することをセノリティクスといい、世界中で注目され研究が進んでいる分野になります。期待されている成分に、ブドウに含まれるレスベラトロールやタマネギに含まれるケルセチンなどがあります。
乾燥肌対策としての基本と漢方薬
乾燥肌の対策として、保湿クリームをこまめに塗ること、熱すぎる温度のお湯では手や顔を洗わないこと、肌をごしごしこすらないこと、部屋の加湿を行うことなど、基本的な対策は忘れずに実践するようにしましょう。そして、食事内容や睡眠の質の見直しも、当然ながら大切な要素になります。
それらに加え、解決できない部分や補足したい部分に関しては、漢方薬を活用して対策を行っていくのも手段のひとつです。
例えば、乾燥して、かゆみが出てくるようなときには「当帰飲子(とうきいんし)」を、赤みや湿疹などの炎症が出てくるようなときには「温清飲(うんせいいん)」を用いることが多いです。
その他にも、個々の体質や肌質に合わせて複数の処方がありますので、カラダの中から乾燥肌を改善していきたいと考えている人は、専門の医師や薬剤師に相談してみましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛