深刻な病気になる前に、血糖値コントロールを実践しよう
近年、糖質オフやロカボ、抗糖化、AGEs(エージーイー)など、糖質に関わる言葉を耳にする機会が増えてきました。それに伴い、糖質の摂り入れ方を工夫して、ダイエットやエイジングケアなどの効率を上げようとする考え方も、一般的な知識として根付いてきたように感じます。
さて、少し前までは、糖尿病でなければ血糖値を気にしなくても良いという考えが当たり前でしたが、予防医療の研究が進むにつれて、日常生活で気を付けるべきポイントが少しずつ明確になってきました。また、漢方医学も自分の治癒力を高めるという概念から予防医療になります。
そのため、血糖コントロール(血糖値を適切な範囲に維持すること)と漢方薬の服用を行うことは、主訴改善の効率が向上すると考えられます。
そこで今回は、薬剤師である筆者が、血糖値のコントロールについて解説します。
血糖値がコントロールできていない場合に生じる不調
甘いものや麺類など、糖質の摂り方によって、血糖値が乱高下してしまいます。
その結果、イライラしたり、気分が落ち込んだり、集中力が低下したり、発汗、めまいなどを感じることがあります。
ところが、こういった食べ物の摂り方は個々で習慣化されていることがほとんどのため、なんとなく感じる不調も日常的に起き、自分にとって当たり前のように感じてしまっていることも少なくありません。
そこで、血糖コントロールができていない場合に、短期的に生じる不調を紹介します。
・空腹感
・甘いものへの渇望
・疲労感
・重い更年期障害
・片頭痛
・不眠
・1型糖尿病の管理不良
・妊娠糖尿病
・免疫の低下
・認知機能の低下
このように、たくさんの不調が考えられます。何か病気とは思えないような不調を感じたときには、糖質の摂り方を見直すことも検討してみましょう。
血糖値のコントロールによる不調が長期的に続くと…
血糖値が乱高下するような食事を長期的に続けると、カラダに少しずつ酸化ストレスや糖化、炎症などが起こり、慢性疾患へとつながってしまうことがあります。次に、起こりうる疾患例を紹介します。
・老化の亢進
・ニキビ、湿疹
・乾癬(かんせん)
・関節炎
・白内障
・アルツハイマー病
・がん
・うつ病
・胃腸の不調
・心臓病
・多のう胞性卵巣症候群
・2型糖尿病
・脂肪性肝疾患
このように、ニキビや湿疹といった症状から、がんや内臓系の疾患まで多岐に渡っていることが分かります。深刻な状況に陥る前に、日々の生活習慣を見直すことが大切です。
血糖値コントロール対策としてできること
日常の中で、すぐに取り組める“血糖値を安定させる方法”を紹介します。
(1)食べる順番や組み合わせを知る
野菜や肉、魚などを先に食べ、糖質類を最後に食べることはよく知られていますが、じつは組み合わせも大切です。米やパンだけを食べるのではなく、糖質を取るときには、脂質やタンパク質、食物繊維を合わせるようにしましょう。
(2)朝食の内容を見直す
朝食に、パンやシリアル、スムージー、野菜ジュースなど糖質が多いメニューばかりになっていないでしょうか。朝に、血糖値が乱高下しやすい食事に偏ると、1日を通して血糖値の調整が難しくなるという研究データがあります。
朝食の糖質過多には気をつけるようにしましょう。
(3)デザートを食べるタイミングに注意する
(1)でもお伝えしたように、糖質だけを取ると血糖値の乱高下が起こりやすくなります。
そのため、単体で甘いものを食べるのではなく、食物繊維やタンパク質などをしっかりと取った食事の後に、デザート(おやつや甘いもの)は取るようにしましょう。
(4)人工甘味料や異性化糖を控える
人工甘味料には、血糖値を急上昇させたり、腸内環境に悪影響を及ぼすものがあります。また、カロリーが低いため、多めに食べてしまうことも。
また、異性化糖には、果糖が多く含まれますが、果糖はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられず、脂肪としてしか蓄えることができないので、非アルコール性脂肪肝疾患や肥満などの原因となってしまうこともあります。
(5)酢を飲む
食前から食後20分までの間で、大さじ1程度の酢を摂取すると、血糖値の急上昇が抑えられるといわれています。
(6)食べたら動く
食後に軽い運動(ウォーキングや筋トレ)をすると、血糖値の急上昇が抑えられるといわれています。タイミングで的には、食後70分以内に10〜20分程度の運動が良いとされています。
どうしても甘いものや好物を我慢できないという人も多いと思います。
ですが、食べる順番や、その組み合わせ、食後の運動など、血糖値を調整する工夫はいくらでもあります。
深刻な症状につながる前に、血糖値のコントロールを意識して、できることから始めてみましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛